世界遺産の島、奄美大島・宇検村とマングローブ植林プロジェクトを開始

日本初となるマングローブ植林由来のCO2クレジット創出も視野に

2021年8月18日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井敬太、以下「伊藤忠商事」)は、奄美大島・宇検村(うけんそん)とマングローブ植林の取り組みを開始することで合意いたしました。伊藤忠商事は社会貢献活動基本方針のひとつとして環境保全を掲げており、本件では生物多様性の保全に寄与するとともに、マングローブ植林を通じ、日本初のCO₂クレジット創出の取組みも目指してまいります。

奄美大島は、今年7月に開かれたユネスコの世界遺産委員会において、世界自然遺産として登録されました。奄美大島の西岸に位置する宇検村では、多様な生物が息づく豊かでかけがえのないふるさとの自然を、次世代を担う子供たちが誇りを持って愛せるものとして守り育てていく取り組みを進めており、その一環として、子供たちが育てたメヒルギ(※1)の苗を使ったマングローブ林の植林活動を実施しています。マングローブ林は「海のゆりかご」と呼ばれ、水辺に住む生物の生息地となるだけでなく、その葉や果実は生物のエネルギー源となり、生物多様性の保全に貢献します。奄美大島ではノコギリガザミ、ミナミトビハゼなどの生物がマングローブ生態系に生息します。

マングローブは、濃密に発達した細根が常に伸長と枯死を繰り返すこと、また枯れ落ちた枝葉が泥炭となり蓄積することで、土壌中に高密度の炭素を隔離することから、単位面積あたりのCO₂吸収量が多いことで知られています。マングローブのような海の生態系によって隔離される炭素は「ブルーカーボン(※2)」と呼ばれ、新しいCO₂吸収源として期待されています。伊藤忠商事と宇検村は、本プロジェクトによって吸収されるCO₂を、国土交通大臣認可法人である「ジャパンブルーエコノミー技術研究組合」が発行する「Jブルークレジット(※3)」として、日本で初めてのマングローブ由来のクレジット認証を受けることを目指すとともに、ブルーカーボン拡大を目指した取り組みの橋頭堡としていきたいと思います。

伊藤忠商事は、中期経営計画「Brand-new Deal 2023」にて、基本方針として「SDGs」への貢献・取組強化を掲げており、本取組はそれらに寄与する案件として育てていく所存です。今後も伊藤忠商事はSDGsの達成に貢献できる取組を加速して参ります。

■メヒルギの苗
(写真:鹿児島県環境技術協会提供)

※1 メヒルギとは
メヒルギは日本では鹿児島県と沖縄県に自然分布するマングローブ林を形成する植物の一種です。メヒルギ等によるマングローブ林の再生や保全は、奄美大島の自然環境や、それと共に育まれてきた自然と共に生きる地域の文化の保全に役立つと考えられています。

※2 ブルーカーボンとは
森林など、陸上の植物が吸収した炭素(カーボン)を「グリーンカーボン」と呼びます。一方で、マングローブ、塩性湿地、海草(アマモなど)などの海洋生物が吸収した炭素のことを「ブルーカーボン」と呼びます。特にマングローブは、単位面積あたりのCO2吸収量が多いことで知られています。

ブルーカーボンについて(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/kowan/content/001394943.pdf

■吸収係数 (t-CO2/ha/年)
(出典:浅海生態系における年間二酸化炭素吸収量の全国推計(桑江ほか,2019)https://doi.org/10.2208/kaigan.75.10

※3 Jブルークレジットとは
国土交通大臣認可法人である「ジャパンブルーエコノミー技術研究組合」https://www.blueeconomy.jp/
が発行するCO2吸収量クレジットです。企業等のクレジット購入者は、削減努力だけでは減らせない温室効果ガスの排出量を、購入したクレジットでオフセット(埋め合わせ)をする事ができます。