東日本大震災復興支援の取組み

伊藤忠商事は2011年3月に発生した東日本大震災の復興支援活動を行いました。時系列による活動の詳細はこちらからご覧ください。

東日本大震災直後の支援

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東日本全域に甚大な被害をもたらしました。
伊藤忠商事では、震災直後に被災地への義援金・物資を通じた支援を実施、また社員ボランティアの制度を構築して復興支援に取組みました。

震災直後の義援金・物資支援

伊藤忠商事は、震災直後の3月14日、東日本大震災による被害に対し義援金4億円の拠出を決定、公表しました。義援金4億円については、被害が特に大きい被災地に、多くの支援が行きわたるように岩手県、宮城県、福島県、茨城県、青森県の各自治体に拠出するとともに、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(行政・経済界・NPOで構成する組織)を通じて、被災地で活動するNPO法人の活動資金として使われました。救援物資は、被災地の災害対策本部の要請のもとに、下着、子供用衣服、タオル類 合計約1万点やSPAM®(肉の缶詰)72,000個等を支援しました。

  • うち、半数にあたる36,000個は、SPAM®の製造者である米国のHormel Foods 社より支援申し入れがあり、当社経由で被災地にお届けしました。

社員の震災ボランティア支援

震災直後の2011年5月から、社員が震災ボランティア活動に参加しやすくするため、ボランティア休暇を一時的に3日から5日に拡充し、日本経団連、関西経済連合会などのボランティアプログラムへ積極的に社員を紹介、参加を支援しました。同年12月には伊藤忠グル―プとしての独自支援プログラムを立ち上げ、交通費/現地滞在費などを会社から補助する制度を創設し、2017年までに延べ約500名が利用し、ボランティアとして復興支援に携わりました。

伊藤忠子どもの夢ファンド

「伊藤忠子どもの夢ファンド」とは、東日本大震災で被災した子どもたちの夢を応援することを目的に、伊藤忠商事が2013年3月より実施した復興支援活動です。さまざまなジャンルで、子どもたちの夢をサポートしました。

「伊藤忠子どもの夢カップ」開催による少年野球チームの支援

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震災で特に大きな被害を受けた陸前高田市で頑張っている子どもたちを支援するため、陸前高田市の全スポーツ少年団5チームが参加する少年野球大会「伊藤忠子どもの夢カップ」を2014年から2018年に第11回を数えるまで毎年春季及び秋季に年2回開催しました。
最終年度の2018年、春季大会は5月28日、6月10日、秋季大会は9月23日、24日に、いずれも陸前高田市立小友小学校グラウンドにて開催されました。
最終回の秋季大会は、同市内のスポーツ少年団全5チームが参加、決勝戦は横田野球スポーツ少年団と米崎リトルスポーツ少年団の白熱した試合の末、1-8で米崎リトルが連覇の記録を更新した試合となりました。伊藤忠グループからも6名のボランティアが参加し、子どもたちとの交流試合で交流を深め、大会も大いに盛り上げました。「伊藤忠子どもの夢カップ」は、同市の活性化の一助となり、未来の甲子園球児となる可能性を秘めた野球少年たちと現地の人々に、夢と元気を届けることができました。

福島の強豪少年野球チームの交流試合を明治神宮野球場にて開催

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福島の子どもたちは野外での活動に制限があり、スポーツの練習も思うようにできていないという現地NGOから聴取したニーズをもとに、2017年から2019年までの3年間、福島県の強豪少年野球チームを招待し、東京の少年野球チームとの交流試合を、子どもたちの憧れのプロ野球の本拠地、明治神宮野球場にて開催しました。明治神宮外苑及び東京ヤクルトスワローズの全面的な協力のもと、子どもたちは、実際にプロ野球選手が使用しているロッカールームや練習場を使用し、1日プロ野球選手体験を楽しみました。
2017年3月は、軟式の小名浜少年野球教室スポーツ少年団とレッドサンズ(文京区)が対戦、投手戦の末0-0で引き分け、硬式は福島リトルと小平リトルが対戦、4-5で小平リトルのサヨナラ勝ちという結果でした。伊藤忠グループ社員や相互会野球部がボランティアでサポートし、試合後には、ファミリーマートから提供された昼食と交流会で対戦チームの子どもたちと交流を深めました。
2018年は2月25日に、福島県の小名浜少年野球教室スポーツ少年団と東京都のナインスターズが対戦、結果は3対0で東京都のナインスターズが勝利しました。2019年は2月24日に、福島県南相馬市の強豪少年野球チーム、原町ジュニア・メッツが東京都目黒区のチーム、不動パイレーツと対戦し、両者譲らぬ白熱した試合の結果は4対3で福島県のチームが勝利しました。毎年、熱戦後の交流会は、伊藤忠商事相互会野球部ボランティアが盛り上げ、野球クイズ大会や質問タイムで絆が生まれました。

「伊藤忠子どもの夢スノーボード教室」の開催

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2015年度と2016年度に、スノーボード選手を夢見る東北の子どもたちを対象に、「伊藤忠子どもの夢スノーボード教室」を開催しました。

2015年度は、長野、ソルトレイク五輪代表選手や、今井郁海選手を始めとする次期オリンピック代表候補の国内強化選手全9名を講師陣として迎え福島県グランデコスノーリゾートで開催しました。午前中は、一流選手から技術の指導を受け、午後はジャンプ発表会を実施。午前中に教えてもらった技を各々が披露。その素晴らしい成長ぶりに採点をした選手一同、拍手喝采でした。

2016年度は、2017年2月4日、日本スキー連盟にご賛同頂き、オリンピックスノーボード競技で活躍された押田奈津子氏(バンクーバー五輪代表)、橋本通代氏(ソルトレイク五輪代表)や、今井勇人氏、安立風太氏、鈴木海斗氏、橋本飛雅氏らが講師として参加、福島県裏磐梯スキー場で開催されました。午前中は、総合滑走力を養うレッスン、午後は成果を披露する発表の場としてタイムレースを行い、子どもたちはプロのレッスンを通じてスノーボード選手への夢が膨らむ貴重な体験に目を輝かせていました。

2015年度と2016年度共に、入賞者には、伊藤忠商事が展開するAIRWALKブランドのスノーボード日本代表チームオフィシャルウェア等をプレゼントしました。

東京都交響楽団と協同して音楽を通じた復興支援

公益財団法人東京都交響楽団(TMSO: Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra)と協同して、震災により大きな被害を受けた福島県の子どもたちを音楽で励ますため、2014年度から3年間音楽を通じた復興支援を実施しました。

2014年度は2015年1月27日・28日で、福島第一原子力発電所30km圏内にある楢葉町、広野町の小中学校の生徒たちに、本物の音楽を間近で感じてもらうためTMSOによる授業形式の弦楽四重奏のコンサート「TMSO×ITOCHU Class Concert」を計4回開催しました。楢葉町立楢葉北小学校・南小学校及び、楢葉町立楢葉中学校は、避難指示解除準備区域に指定されていたため、いわき市中央大飯野にあるいわき明星大学敷地内の仮設校舎の体育館での演奏、広野町立広野小学校及び広野町立広野中学校は教室での演奏会となりました。

2回目となった2015年度は、2016年1月20日(水)~21日(木)、いわき市内の養護学校二校(いわき養護学校、平養護学校)、また福島第一原子力発電所から30km圏内となる川内中学校、広野中学校を訪問し、弦楽四重奏の演奏会が計4回行われました。コンサートでは、クラシックからジャズ、日本の民謡 八木節、ディズニー曲「アナと雪の女王」など多様なジャンルの曲を演奏したほか、合唱曲「ビリーブ」を合唱で共演、また演奏者からヴァイオリンの弾き方を教えてもらう楽器体験の時間も設け、音楽を通して被災地に元気を届けました。

2016年度は、2017年1月16日、17日、工場跡地や廃校になった学校を仮校舎にしているため、様々な地域から長時間かけて通学する生徒もいる葛尾小学校、富岡第一・第二小学校、浪江中学校や、もとの学校で再開するも、当時の在籍数の3分の1の人数になった川内小学校を巡り、弦楽四重奏の演奏会を行いました。授業形式のコンサートは、演奏者からヴァイオリンの弾き方を教えてもらう楽器体験の後、クイズでの解説を交えながらチャイコフスキーの組曲「くるみ割り人形」等の名曲を演奏し、最後は合唱曲「ビリーブ」や、浪江中学校では生徒達が作詞した「未来の光へ」で生徒達の合唱と共演しました。

2016年度はClass Concertに加え、東京都交響楽団が2月22日に開催した、いわき市内の小中学生約3600人が参加したオーケストラ公演「ボクとわたしとオーケストラ~音の輪でつながろう♪~」にも協賛しました。

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「伊藤忠子どもの夢ラグビースクラム」を開催

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「ラグビーの町」として知られ2019年ラグビーW杯の開催都市のひとつにも選ばれている岩手県釜石市でラグビー選手を目指して頑張っている子どもたちの夢を応援するため、2016年11月19、20日、現地チーム「釜石シーウェイブスJr.」に所属する小学生16名を東京に招待しました。
初日は、子どもたちは秩父宮ラグビー場で開催される公式大会のエスコートキッズを務め、翌日は、新日鉄釜石ラグビー部の日本選手権V7を支えた泉秀仁氏とラグビー経験のある伊藤忠社員ボランティア10名も指導に加わって、練馬ラグビースクールとの交流試合を実施し、ラグビーを通じて絆を深めました。

「伊藤忠子どもの夢サマーキャンプ in 陸前高田」の開催

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2014年度から2016年度の3年間、毎年夏休み期間中に陸前高田市の子どもたちを対象に英語のサマーキャンプを実施しました。

第1回目となった2014年8月1日~2日、英語スポーツキャンプを実施しているSCOA (SPORTS CAMP OF AMERICA) のプログラムを利用して、一般公募で集まった陸前高田市在住の小学5年生~中学3年生21名が、アメリカから来日した13名の学生の“英語キャンプ”カウンセラーの指導のもと、アメリカのサマーキャンプでよく行われる活動や様々なスポーツを通して、異文化に触れる機会となりました。

2015年度は、7月31日~8月1日の2日間、前年同様、SCOAの大学生アスリート17名が来日し、陸前高田市内の小学4年生~中学1年生26人と様々なスポーツや、ダンス、キャンプファイヤーを楽しみました。伊藤忠商事から社員ボランティア10名も加わり、仮設住宅で暮らしていた子ども達が、異文化や英語を身近に感じ、日本に留まらず「世界」に視野を広げられるように、商社パーソンとして子ども達と一緒に汗を流しました。

第3回目は、2016年7月30日、31日の2日間、伊藤忠商事のボランティア10名と共に、一般公募で集まった陸前高田市在住の小学4年生~中学1年生の26名、米国の大学生や陸前高田市と地域創生等の連携協定を結んでいる立教大学及び岩手大学の留学生・帰国子女の学生等の20名が、英語によるサマーキャンプを楽しみました。

伊藤忠たかたのゆめプロジェクト

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伊藤忠商事では、食品原料の販売会社である伊藤忠食糧株式会社を通じて、岩手県陸前高田市のブランド米「たかたのゆめ」の販売支援を実施しました。
「たかたのゆめ」は、津波で甚大な被害に遭った陸前高田市が、地域競争力の確保、農業復興のシンボルとして、地域ブランド米としての確立を目指し2013年秋から展開しているお米です。本プロジェクトでは、生産過程においても伊藤忠グループの社員ボランティアが現地農家の方と交流しつつ、2013年度から2019年度まで5月の田植え、9月の稲刈りに継続的に参加、支援しました。
また、「たかたのゆめ」の認知度向上を目的に、東京本社周辺の飲食店を巻き込む等様々なPR施策を実施してきました。2015年と2016年の震災の日、3月11日に、東京本社のある青山の街全体で「たかたのゆめ」を応援するキャンペーン「3.11 食べて応援しよう!たかたのゆめプロジェクトin 青山」を実施しました。趣旨に賛同頂いた表参道から青山周辺の参加飲食店舗のランチタイムにご飯やパンに「たかたのゆめ」を使用したメニューを提供頂き、より多くの方に「たかたのゆめ」を食べて頂くことで、被災地の支援活動につなげました。また、都内各所でPRイベントを開催し、陸前高田市の職員と共に伊藤忠商事の社員ボランティアが「たかたのゆめ」のPRを行いました。

活動の詳細はこちらからご覧ください。

伊藤忠記念財団を通じた被災地支援活動

伊藤忠記念財団と共に 東南アジアに絵本を贈ろう in 東北

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伊藤忠記念財団は、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会が行っている「絵本を届ける運動」に参加しています。カンボジア、ラオス、ミャンマー、アフガニスタンなどの地域に、現地語の翻訳シールを貼り付けた日本の絵本を贈り、現地の子どもたちに絵本の楽しさを伝えています。
現地語の翻訳シールを絵本に貼る活動は、伊藤忠記念財団と共に、社員ボランティアが行っていますが、この活動を東日本大震災の被災地の子どもたちにも拡げる取組みを2014年度から実施しています。2022年度は岩手県で子どもの読書支援活動に携っている2団体の協力を得て、320冊の翻訳絵本を完成させ、現地へ発送しました。被災地の子どもたちが2022年度までに完成させ、各国に送った本は累計3660冊にのぼります。

株主の皆様と行う「子どもの本100冊図書の寄贈」

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2012年度から2022年度まで、株主の皆様に株主情報の電子化にご承認いただき、節約できた印刷費や郵送料を、伊藤忠記念財団が行う図書寄贈活動に充てる取組みを実施しました。
最終年度となった2022年度は東日本大震災及び平成30年7月豪雨、令和4年台風15号で大きな被害を受けた以下の14校に、子どもの本100冊図書セットを1セットずつ寄贈しました。

【2022年度寄贈先】
東日本大震災 岩手県

[陸前高田市]広田小学校、米崎小学校、横田小学校

宮城県

[石巻市]中里小学校

福島県

[いわき市]赤井小学校、鹿島小学校、夏井小学校、平第一小学校、平第四小学校、平第六小学校

平成30年7月豪雨 岡山県

[倉敷市]真備中学校、真備東中学校

令和4年台風第15号 静岡県

[静岡市]清水入江小学校、[磐田市]豊岡北小学校