豪州最大の海水淡水化PPP事業に参画

2009年8月3日

豪州ヴィクトリア州政府がPPP *1)形態にて進める世界最大規模(日量約40万トン)の海水淡水化事業の事業者選定入札において、伊藤忠が参画するアクアシュアコンソーシアムが事業権を落札致しました。

アクアシュアコンソーシアムは水・環境事業で世界最大手の1社である仏スエズエンヴァイロンメントグループ、豪最大手ゼネコンであるティース、豪最大手投資銀行のマッコーリの3社で構成され、伊藤忠は同コンソーシアムの出資パートナーとして入札に参加していました。建設事業費は約2800億円で、プロジェクトの範囲は逆浸透膜(RO)方式の海水淡水化設備、取水設備、送水パイプライン、送電線の建設を含みます。同コンソーシアムは2011年末までに設備建設を完了し、その後27年間に渡ってメルボルン市への水の安定供給を担って参ります。また、本事業に必要な電力はヴィクトリア州内に建設される風力発電の再生エネルギーによって賄うこととなっています。伊藤忠はおよそA$100Mを出資し、事業経営に参加いたします。尚、本件では三井住友銀行、みずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行の邦銀大手3行を含む十数行の国際銀行団がプロジェクトファイナンスを組成します。

プロジェクトの背景

昨今、オーストラリア全域では水不足が深刻化しており、ヴィクトリア州においても1996年にほぼ100%であった貯水池の貯水量が、2度の大干ばつなどから、2009年5月には26.5%にまで低下し深刻な水不足の状況が続いています。また、今後10年以内に、気候変化、堅調な人口増加、日照りなどによって年間1000億リットルもの飲料水が不足に陥ると予測もされていることから、ヴィクトリア州政府は、年間1500億リットル(日量約40万トン)の海水淡水化施設の建設を決定していました。本設備により、人口380万人のヴィクトリア州メルボルン市の水需要の約30%を満たすことが可能となります。オーストラリアにおける大型の海水淡水化プラントの導入は本件で6件目(パース二基、ゴールドコースト、アデレード、シドニー)となりますが、PPP形態による導入は初めてです。

伊藤忠では水関連事業を中期経営計画の重点分野と位置付けており、これまでにもサウジアラビア等中近東を中心に海水淡水化関連プロジェクト・事業に積極的に参画してきました。本件をきっかけに、中近東並びにオーストラリア、アジア諸国など水問題が深刻となりつつある地域を対象に海水淡水化等の水関連事業への進出をより一層加速する方針です。

  • *1) PPPとは、パブリックプライベートパートナーシップと呼ばれ、官と民がパートナーシップを組んで共同で事業を行うという官民協力の契約形態。