カナダの豚肉生産事業 -HyLife Group Holdings.-

人権の尊重・配慮に関するHighlight
地域社会への貢献に関するHighlight

生姜焼き、とんかつ、しゃぶしゃぶ等、日本では日常的に豚肉が食べられています。しかし、日本の豚肉自給率は実は約50%程度(H26年農水省データ)であり、日本の食料自給力は年々低下しています。そのような状況下、高品質で安心・安全な豚肉を安定的に日本に届け、日本人の食を支えている当社の豚肉事業の一つをご紹介します。

伊藤忠商事は2012年12月に、カナダ最大級の養豚・豚肉生産者であり、マニトバ州を中心に豚肉の一貫生産事業を行っているHyLife Group Holdings.(以下、HyLife)の株式を33.4%(50億円規模)取得し、現在は49.9%の株式比率を保有しています。

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マニトバ州

HyLifeの本社が所在するマニトバ州はカナダの中心部に位置しており、農業に適した土地と言われています。夏場も涼しい気候で、高品質産地として有名な麦類や、人口一人当たりの水資源量No.1を誇るカナダのバランスの取れた水を摂取し、豚は健やかに育ち、養豚には好条件の揃った恵まれた土地と言えます。また、カナダの豚肉自給率は250%を超えており、日本の豚肉不足を解決してくれる心強い長期的なパートナーでもあります。

HyLifeの紹介

ロゴ

HyLifeの前身となるHytek社は1994年に創設されました。当時マニトバ州でそれぞれ別の養豚場を持っていたヴィーエルフォレ三兄弟と現会長のドン・ジャンセンが偶然、ガソリンスタンドで出会い、お互いの強みを活かした豚肉生産事業を行おうと手を結んだことが始まりでした。

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HyLife社

HyLifeは当初、米国向けの輸出を主な事業としていましたが、米国での法改定によりカナダからの輸入が困難となり、経営陣は事業の転換を迫られました。その時、従来の「養豚」「飼育」に加えて、「と畜」まで自社で一貫して行えば、他にはない管理体制で差別化・競争力を高めることができ、品質の向上にもつながると考え、豚肉加工工場を所有することを決断。2008年に現在の垂直統合一貫生産を完成させました。これにより会社としての競争力を高め、高い安全性を確保し、安定的に高品質な豚を提供できるようになりました。
今では従業員1800名、年間190万頭の養豚、160万頭のと畜加工を行う、カナダを代表する養豚企業となっています。

HyLifeが実現する安心・安全で高品質な豚肉生産プロセスと顧客対応

HyLifeは養豚、配合飼料の生産、豚肉加工を一貫して行うインテグレーション生産を行っています。その生産システムによりサプライチェーンの管理・コーディネーションが自社で可能となっています。また、トレーサビリティが確立された安心・安全で高品質な製品の安定供給を実現しており、日本市場からも高評価を受けて現在は対日向け冷蔵ポーク輸出量ではカナダNo.1まで上り詰めました。

安心・安全で高品質な豚肉を提供するプロセス

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HyLifeの農場は、食品安全に配慮し、アニマルケアが適切に行われていることについてカナダ連邦政府の監査を年に一度受けており、CQA(Canada Quality Assurance)認証を取得しています。

飼料

マニトバで育成される高品質な麦、とうもろこし、カノーラを中心に使用し、自社の工場で配合飼料を生産しています。これにより、飼料についてもどの豚がどの農場の何を食べて育ったかということまで、トレースバックが可能です。特に日本向け特別飼料プログラムに則った配合飼料は、高品質な豚肉を作り上げるために自社の栄養士の指導のもと丁寧に作りあげられています。

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飼料の配合施設
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品質検査

豚の飼育と取扱い

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豚の飼育

HyLifeでは、動物福祉や高い肉質維持のために、全てのトラックドライバーにTQA(輸送品質保障)プログラムという国際基準の免許取得を義務化しています。このプログラムを通じて、生体豚輸送の過程が豚肉の品質へ与える影響や動物愛護に基づくアニマル・ハンドリングの重要性を学びます。加えて、HyLife農場ではACA(動物保護アセスメント)を実施しており、自社の獣医師や専門のスーパーバイザーが各農場の訪問実査を行なっています。特に重要なバイオセキュリティの観点から、豚の病原菌への感染を避けるため、海外からの訪問者については2週間は豚舎に入れないルールを設けており、社員が海外出張に行った場合も同様のルールが適用されます。

と畜加工工場

HyLifeの加工工場は国際的に認められた衛生管理手法である「HACCP方式」で管理しています。専門教育を受けた品質管理担当者が生産工程を科学的に分析し、不良品の発生や出荷を防止しています。さらに、カットや袋詰めなど、それぞれの工程で品質管理担当者がすべての商品を確認し、袋詰めをした後は金属探知機やX線による検査も行っています。

研究開発

通常北米では、農場と加工工場は切り離されていることが多く、品質に関する顧客の声を農場まで反映されることは余り一般的ではありません。これに対して、HyLifeは自社の特徴である一貫生産を活かして、開発・研究に特化した農場を作り、定期的な農場と加工工場のフィードバックシステムを構築しています。このシステムを通じて、豚肉の品質の特性を効果的に分析・研究し、継続的に肉質を改善するプログラムを開発しました。
また、日々の生産では専門の社員が下記の検査や研究を行い、食品安全の確保、また安定品質・安定規格の供給を実現しています。

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豚肉の品質分析

研究開発内容の例

  • 対日向けチルドポーク商品の全品検査・選別
  • 一般生菌数検査
  • 賞味期限用保存試験
  • コールド・チェーンのモニタリング
  • 赤身率検査
  • 枝肉状態モニタリング・品質検査
  • 残留検査

お客様の要望に合わせた商品の提供

HyLifeの強みである一貫生産を効果的に活用することで、お客様の要望を理解し、個々のニーズに合わせて商品をカスタマイズすることを行なっております。これを、HyLifeでは対日向けスペシャルティ・プログラムと呼んでいます。この特別飼料プログラムに加えて、伊藤忠商事・プリマハム向け専用銘柄としてハーブ三元豚※も生産しています。

日本プログラムの例

  • 日本における生産上の要件を定義したプログラム契約
  • 自社の栄養士による飼料の配合(脂肪の硬さと肉質に良い影響を与える低ヨウ素価(IVP)の特別飼料プログラムを開発・実施、60日間ハーブの摂取)
  • 承認を取得した品種の提供(母系 ラージホワイト×ランドレース、父系 デュロック)
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  • 伊藤忠商事が、ハム・ソーセージメーカー大手のプリマハム向け専用銘柄として取り扱う“ハーブ三元豚”には、60日間ハーブ(オレガノ、タイム、シナモンの樹皮からの抽出物)を配合した飼料を与えています。これにより豚肉独特の臭みを抑え、香りが良くうまみ・コクが増した豚肉の生産を実現しました。

お客様とのパートナーシップ

日本向け特別プログラムを作るにあたっては、栄養士と獣医師の指導のもと、選ばれた品種の交配による三元豚、マニトバ州の土地を活かした地元の麦類を中心とした飼料の給仕、加えて伊藤忠商事の駐在員も加わり日々の管理・監督を行なっております。HyLifeの経営陣自ら年に数回日本を訪問し、お客様や加工工場・農家を回って直接フィードバックを受けたり、パートナー企業経由で日々情報収集も行っています。また、日本訪問時に国産銘柄豚や他国輸入ポークとの比較試食テスト等も行い、常に品質向上を図っています。この日本向け特別プログラムの促進により、日本人がより美味しいと感じる豚肉の提供を可能としています。
日本の大きな客先の一つ、プリマハム向け専用銘柄“ハーブ三元豚”の他、「新鮮!使い切りロースハム」等の商品にもHyLifeの豚が使用されています。

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販売促進サポート
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国産豚等との比較試食
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プリマハム社の「新鮮!使い切りロースハム」

環境・コミュニティに配慮した活動

HyLifeは、会社の最も重要なCore Valueとして記載しているように、地域社会と共に繁栄して行くことが非常に重要であると考えており、地域社会の人々とコミュニケーションを強化し、コミュニティと一体となるために、様々な取組を行っています。またこれに関連し事業活動が環境に与える負担を最小限に抑えるための取組みにも真摯に取り組んでいます。

環境に配慮した活動

水の再利用

自社にて排水処理施設を建設し、加工工場で出る排水を真水に処理し、トラックの洗浄などの放水に利用することで、水の再利用を図っています。この施設を建設したことによって、工場廃水約50%の再利用を実現しています。

土地の価値向上

HyLifeの養豚農場で出た豚の糞尿はカナダ政府との連動のもと、肥料として牧草地に還元しています。この糞尿は草地に還元されることで牧草の生育に必要な養肥分として再び利用されます。加えて、HyLifeは自社で牛も所有しており、この牧草地で生育させております。このサイクルを実現することで、栄養のある土地を育て、土地の価値を向上し、より効率的に牛を飼育できるようになると共に豚生産からの廃棄物の付加価値化に寄与しています。

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敷地内の排水処理施設
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浄水過程

コミュニティとのつながりを大切にした活動

地域コミュニティの強化

HyLifeは、従業員のみならず地域住民や家族が参加できる様々なイベント(祭事でのブース出展等)を、夏の週末を中心に開催し、コミュニティの強化に貢献しています。またHyLife Fun Daysという一大イベントを年に一度開催しております。当初は社員とその家族のための行事であったのが、今では地域コミュニティ・ベンダー関係者の人々も参加する行事へと発展しました。年間約500人の地域コミュニティの方々が参加する人気のイベントです。
また、地域コミュニティのスポーツイベントへのスポンサーとなったり、寄付を行なう等をして地域との関係を深める活動を積極的に行っています。

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コミュニティ懇親会
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子供達へのワークショップ
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HyLifeの豚肉で作ったハンバーグ

移民の受け入れ・サポート

HyLifeは各国より移民受け入れを積極的に行っています。優秀な人材の確保のため、現地へ訪問し面接を含む採用プロセスを自社にて実施しているのみならず、カナダ移住後の銀行口座の開設・住居の確保・宗教コミュニティの紹介・サポート等のサービスを充実させ、いち早く移民者達が環境に慣れ、快適にカナダでの生活が始められるような取組を行っています。特に現在はフィリピンからの移民が多く、工場のあるNeepawaではフィリピンコミュニティのサポートも手厚く行なうなど、従業員の定着率向上にも努めています。
この取組はSDGsの目標8の、すべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)の促進にもつながります。

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フィリピンからの移民(HyLife従業員):Rex Toledo氏のコメント

マニトバ州に到着してから住居探しをする1か月間、HyLifeが住宅費や交通費を負担してくれたり、様々な面でサポートをしてもらい大変助かり、感謝しています。入社当初は品質管理を行っていましたが、現在は日本向けカスタマーサービスを担当しており、業務領域を広げる等HyLifeは従業員の成長も応援してくれる会社です。HyLifeが行う社会貢献活動にも積極的に参加をしており、2013年にはVolunteer of the Year Awardを受賞しました。会社を通じて地域に貢献できることも、モチベーションの一つとなっています。

コミュニティパートナー(Neepawaにおける移民の定住サポートを担当):Don Walmsley氏のコメント

HyLifeと言う存在のお蔭でNeepawa地区の学校や教会にも人が増え、私が担当している定住サポートの業務も年々数が増えており、街全体に活気が出ました。地域のイベントにも、豚肉の提供を含む各種サポートをしてくれる等、その存在は地元からも非常に喜ばれています。

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伊藤忠商事からの駐在員(アジア向け営業・市場開発バイスプレジデント):舩越直之氏のコメント

HyLifeを知ったのは伊藤忠商事で輸入ポークを担当していた時でした。新たなサプライヤー開拓として、カナダに視察に行ったことを覚えています。2010年初旬から週間7トンから市場へ紹介を始めた豚肉が、絶対的な品質や安全・安心を約束する管理から、現在では伊藤忠の取り扱い高で週間500トンを越えるところまで成長してきました。
出資の後、2013年より最初の営業駐在として当地に来ましたが、本当に従業員みんなが家族のように仲良く、思いやりがあり、また社長から現場まで直接真剣に議論が出来るフラット・マネージメントを実施していることに驚きました。その会社環境や従業員の商品への思いが、差別化につながり成長へもつながっていると感じています。
また、生活環境では当方の家族もHyLifeメンバーの仲間として、学校やカナダの祭日を始め色々なシーンでサポートしてもらっています。特に、カナダでしか味わえない自然体験に多々連れて行ってもらい、子供たちにも非常に良い経験になっていると思います。
当方も駐在員として、今まで以上にHyLifeと伊藤忠商事のパートナーシップとネットワークを活用・強化し、日本向けを含むアジア向けの輸出を更に拡大して行く予定です。
HyLifeは世界一のカナダの“食品会社”を目指し、事業活動と従業員、地域社会や環境とのバランスを最適化しながら、これからも安心・安全で美味しい豚肉をお客様に届け、成長していきます。