「攻め」を支える人材戦略

グローバル人材戦略の継続推進

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タレントマネジメントプロセス

伊藤忠グループの安定的・継続的な成長を支えるのは「人材」です。
伊藤忠商事は、グループ全世界ベースでの人材価値の最大化・全体最適を目指し2007年度より世界視点での人材戦略を推進しています。具体的には、2010年度に伊藤忠のリーダーが備えるべき行動要件を整備し、全世界の組織長人材をデータベース化※、各ディビジョンカンパニーや海外ブロックとの連携を通じて、全世界で海外収益拡大を担う優秀な人材の採用・育成・活用・登用を行う「タレントマネジメントプロセス」の仕組みを構築しています。
また、創業時から150年余り受け継がれている理念や価値観を、採用基準や評価・育成制度にも反映させ、伊藤忠の価値観に合った人材の採用・育成をグローバルに行っています。

  • 全世界・全階層の職務を対象に、職務・職責に基づくグローバルスタンダード(ITOCHU Global Classification:IGC)を2009年度に整備、国籍にとらわれない人材の配置、登用、育成をグローバルベースで推進するために活用。

育成方針

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人材育成の基本構造(イメージ)

個々の適性・キャリアを踏まえ、それぞれのフィールドで活躍できる「業界のプロ」、その中核としてグローバルレベルでマネジメントできる「強い人材」の育成を目指しています。
その実現に向けて、OJT(on the job training)の徹底を通じた業務経験の付与を中心に、適切な評価・フィードバックによって社員の成長意欲を醸成、自己啓発を促し、研修を通じた知識・スキルの習得と、積極的なキャリアアップの補完を行うことで、更なる強化を図ります。
引続き、研修を通じた人材育成に対しては多額の投資を行うとともに、今後はこれまでに構築した制度・仕組みを活用した現場主導による人材育成を更に促進していきます。

研修体系

伊藤忠商事の研修体系は、「全社研修」と業界特性や専門性等に対応したカンパニー及び職能部の「ライン研修」から構成されております。本社社員のみならず、一部海外ブロック現地社員やグループ会社社員も含め、あらゆる階層の社員に幅広く育成の機会を提供しています。

海外ブロックでは、事業や市場の特性に基づく必要なスキル・専門性を身に付けるためのブロック独自研修体系を整備しています。伊藤忠商事の研修体系と併せてグローバルに活躍するマネジメント人材の育成を進めています。

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GEP: Global Executive Program
GLP: Global Leadership Program
GNP: Global Network Program
NS UTR: National Staff U-turn Rotation Training
GPP: Global Partnership Program for Subsidiary Staff

育成上の強化ポイント

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グローバルディベロップメントプログラム研修

人材育成上の強化ポイントとして、「連結」「海外」「現場力」の3つの着眼点を掲げています。
まず、「連結」の観点からは、2013年度に事業会社の経営管理を担える人材の育成スキームを構築しました。具体的には、事業管理に関する基礎知識やリスクマネジメント手法の習得強化のため、「職能インターン制度」を導入し、監査部や法務部で一定期間の管理業務経験を積ませる他、演習を通じて経理業務を短期間で効率的に学ぶ研修プログラムを2014年度から開始し、若手社員の必須研修としています。また、国内グループ会社の社員がスキルアップとグループ内のネットワーク拡大を図っていくよう、グループ会社社員向け研修ラインアップの充実も行っています。

次に、「海外」の観点からは、グローバルマネジメント人材の育成に向け、「グローバルディベロップメントプログラム(GEP、GLP、GNP、GPP※)研修」「短期ビジネススクール派遣」といった研修を実施しています。また、日本本社の若手社員の英語力及び国際的視野の養成を図る目的で、1999年より他社に先駆けて短期海外派遣制度を導入し、現在は中国他新興市場国へ派遣する「若手短期中国語・特殊語学派遣制度」を軸に、将来の各市場スペシャリスト候補の育成を図っています。

「現場力」の観点からは、多様な価値観を持った「業界のプロ」の育成に向けて、「キャリアビジョン支援研修」や、各カンパニー・総本社職能部の人材戦略に基づく独自研修等、目的にあわせさまざまな研修を実施しています。

  • GEP(Global Executive Program):グローバル人材開発プログラムの基幹プログラムとして、グローバルエグゼクティブを育成する研修。
  • GLP(Global Leadership Program):グローバルに活躍できる組織長育成を目的とした研修。
  • GNP(Global Network Program):海外ブロック社員を対象に、本社での研修を通じて伊藤忠グループのグローバルオペレーションを肌身で学び、参加メンバー間のネットワークを構築する研修。
  • GPP(Global Partnership Program):海外グループ会社社員を対象に、伊藤忠の歴史、ビジネス概要、Corporate Message等の伝達・醸成及び伊藤忠グループ全体のネットワーク構築を目的として実施する研修。
主な研修参加人数
研修名 2014年度実績 2015年度実績 2016年度実績
職能インターン制度 94人 111人 115人
グローバルディベロップメントプログラム 135人 126人 128人
組織長ワークショップ 437人 426人 417人
短期ビジネススクール派遣 39人 41人 51人
若手短期中国語・特殊語学派遣 47人 52人 52人
中国語レッスン 86人 390人 469人
キャリアビジョン支援研修(のべ) 1,893人 2,097人 2,108人

CP・CITICとの人材シナジー

伊藤忠商事は、2015年1月に中国・アジア有数のコングロマリットである、CITIC Limited(以下「CITIC」)及びCharoen Pokphand Group Company Limited(以下「CPG」)との間で戦略的業務・資本提携を行いました。その後、2016年1月には、三社グループで中長期的にビジネスシナジーを創出し、企業価値を向上させるための基盤として、人材シナジー強化のための覚書を締結致しました。この覚書では、三社による短期~長期の人材派遣・交流や、各社の既存研修への受講者の派遣、新規の合同研修の開催等を通じ、将来に向けて、三社間の確固たる人材ネットワークを構築し、三社の戦略提携を支える基盤を構築することを目指しています。

2016年5月には、東京において三社による合同研修を行いました。本研修は伊藤忠の本社課長クラス及びCITIC・CPGにおける同等の職務レベルの社員を選抜し、各社の経営方針・価値観・歴史・主要ビジネス等を互いに充分理解し、受講者同士がビジネスシナジーの創出に向けて徹底的に議論を行うことにより、パートナーとしての確固たる人材ネットワークの構築を図りました。2017年度はCITICの拠点である北京に開催地を移し、第二回目の合同研修を実施予定です。

また、三社での戦略的業務・資本提携に伴い、2015年度より全総合職の1/3にあたる「1000人の中国語人材」を育成するプロジェクトを立ち上げ、語学面での基盤づくりを徹底して進めています。

  2015年7月 2015年度末 2016年度末 2017年度末
(目標)
中国語有資格者数 361人 430人 793人 1,000人

研修参加者コメント

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CP・CITICの参加者と議論をする安達氏(写真中央)

2016年5月に東京で実施したCP・CITICとの三社合同研修に10日間に亘り参加しました。
今回の研修では、テーマとするビジネス領域は「医療」「種・肥料・農産物」「進化型CVS(コンビニエンスストア)」となり、各社のそれぞれの分野から総勢30名弱が集まりました。
私の所属している産業機械・医療ビジネス部では、日本で医療機器の販売や、病院周辺サービスの受託事業を行っておりますので、今後中国やASEAN諸国でそれら事業を共同展開できないかと、「医療」をテーマとして、CP・CITICの受講者とチームを組みました。
研修では、チームで各社の強みや機能を活かした今後のビジネスアイデアについて徹底的に議論しプレゼンを行いました。また、座学や議論だけではなく、日本における最先端の製造現場や物流センターの視察や伊藤忠の歴史や精神を感じてもらう創業地訪問、また、文化交流として浅草や京都観光など通じて、三社でのネットワークを作ることができました。
今後もこの研修で培ったネットワークを大切にし、将来のビジネス開発につなげていきたいと思います。

伊藤忠朝活セミナー

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伊藤忠朝活セミナー

2016年9月より、朝型勤務推進の一策として、早朝時間を活用した研修、講演会を実施し、社員の知見を深め、能力開発や活力増強につなげる取り組み「伊藤忠朝活セミナー」を開催しています。テーマは中国ビジネス、パフォーマンスアップ、業務効率化PC研修、キャッシュフロー、AI、睡眠等多岐にわたり、2016年度は7回開催、818名を動員しました。
受講者からは「就業前に良い話が聞けて、とてもポジティブな気持ちになった」「とても伊藤忠らしい取り組みだと思う」という声が上がっており、今後も定期的に開催していく予定です。

人事評価制度

人事評価制度は、社員がやる気・やりがいを持って最大限の能力発揮ができることを支える人事制度の根幹を担う制度と位置付けています。評価制度の1つである目標管理制度(MBO)には、全社の経営計画に合わせて社員一人ひとりに目標を分担し、実行を確認していくという経営戦略の担い手という役割があります。また、社員一人ひとりの能力・専門性・過去のキャリア・志向・適性を総合的に捉え、配置・異動計画に活用する人材アセスメント制度も設けています。
これらの人事評価制度が機能するためには、上司による公平・公正な評価と部下との面談によるフィードバックが非常に重要と考え、評定者研修等を通じて、社員の育成や成長を促すよう上司に啓発しています。