人権の尊重

人権に関する方針

伊藤忠グループは、企業理念としてITOCHU Mission 「豊かさを担う責任」を掲げています。この「豊かさ」とは、物質的にだけでなく、精神的にも満足している幸福感を意味しており、世界各地で多様な業務を展開する企業として、Society(社会)の豊かさとともに、Individual(個人)の豊かさを担い、人権と個性を尊重しています。
また企業理念では、「豊かさを担う責任」を果たすために大切にすべき5つの価値観をITOCHU Valuesとし、そのひとつとして「多様性(Diversity)」を掲げて、一人ひとりの人権と個性を大切にしています。
こうした考えに基づき、伊藤忠商事は国連が1948年にすべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として採択した「世界人権宣言」を支持し、この宣言などに基づく国連グローバル・コンパクトに2009年から参加しています。
2011年6月に採択された国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の考え方をリスクマネジメント等にも活用したり、社員に啓発活動を展開しています。
また、就業規則においては、「人権の擁護違反」の中で、職務に関し人種、性、宗教、信条、国籍、身体、病気、年令その他非合理的な理由により差別することや「セクシャルハラスメント」を明確に禁止行為として定め、その行為者に対しては懲戒する旨を定めています。

伊藤忠グループ企業理念・企業行動基準 小冊子<抜粋>

人権と個性を尊重する
私たちは、一人ひとりの人権と個性を大切にしています。性別、人種、宗教、立場などにかかわらず、相手に敬意を示し、耳を傾けています。相手の嫌がることを話題にしたり、差別、ハラスメントを行いません。また労働基本権を尊重し、強制労働・児童労働を排除します。

国連グローバル・コンパクト<抜粋>

人権 企業は
原則1. 国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重し、
原則2. 自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである。

事業活動における人権の尊重

世界各国で事業活動を行っている当社では、展開する各地域においても人々の人権を尊重し、事業活動を行っていきます。

先住民の権利の尊重

人権尊重へのコミットメントの一環として、先住民が在住する地域での事業活動においては、先住民が固有の文化や歴史を持つことを認識し、事業活動を行う国・地域の法律や「先住民の権利に関する国際連合宣言」や「国際労働機関(ILO) 第169号条約」等の国際的な取決めに定められた先住民の権利を尊重し、配慮を行っていきます。また、新規の事業投資案件の検討にあたっては、当該事業が先住民の権利に及ぼす影響について事前のチェックを励行していきます。

警備会社起用の考え方

国連は、加盟国が警察官や軍当局等の法執行官の適切な役割を徹底・促進させ、その職務遂行において人間の尊厳を尊重・保護することを支援すべく、1979年12月に「法執行官のための行動綱領」を採択しています。伊藤忠商事としては、上記綱領のもと国連が法執行官による武器使用に関する原則を定めた「法執行官による力と銃器の使用に関する基本原則(Basic Principles on the Use of Force and Firearms by Law Enforcement Officials)」を支持し、その内容に沿った警備会社の選定を行っていきます。

サプライチェーン・事業投資における人権

世界の様々な地域で事業活動を展開する伊藤忠商事にとって、サプライチェーン・事業投資における人権・労働への配慮は、重要なCSR課題のひとつです。当社ではサプライヤーや事業投資先が、適切な管理を行っているか定期的に確認しています。
サプライチェーン・事業投資におけるCSRマネジメントについてはこちらをご覧ください。

外国人への配慮

サプライチェーン上で、外国人労働者・実習生・研修生等の受入れを行っている場合、社会的・経済的地位が低いこと等により、不法行為の対象者となりやすく、人権の尊重及び救済の観点から、当該国の労働関係法令を順守し、受け入れ制度の趣旨に反する行為が行われないよう、十分留意します。

紛争鉱物への対応

コンゴ民主共和国等、紛争の存在する地域で産出される鉱物の一部は、非人道的行為を行う武装勢力の資金源となり、紛争を助長する、あるいは人権侵害を引き起こすなどの可能性があるとされています。2010年7月に米国で成立した「金融規制改革法」(ドッド・フランク法)において、米国上場企業は、コンゴ民主共和国またはその隣接国で産出される「紛争鉱物※」の製品への使用状況等について、開示することが義務付けられました。
伊藤忠商事は、米国証券取引法に基づく報告義務を負っていませんが、調達活動における社会的責任を果たすため、同法の趣旨に鑑み、ビジネスパートナーと連携し、人権侵害を行う武装集団を利することのない鉱物の調達に向けた取組みを推進していきます。

  • 同法における「紛争鉱物」とは、タンタル、スズ、金、タングステン、その他米国国務長官が指定する鉱物を指す。

現代奴隷および人身売買への対応

事業構造およびサプライチェーン

世界63ヶ国に約120の拠点を持つ総合商社として、繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、金融の各分野において国内、輸出入及び三国間取引を行うほか、国内外における事業投資など、ビジネスを展開しております。

現代奴隷および人身売買に対する方針

伊藤忠商事はサプライチェーン及び事業活動において現代奴隷および人身売買が発生しない為の取り組みに尽力しています。国連グローバル・コンパクトに参加すると共に、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の考え方を事業活動に反映しています。当社の既存原則には、世界中の営業活動およびサプライチェーンにおいて、現代奴隷および人身売買が起きないための取り組みが含まれています。

デューデリジェンス

伊藤忠商事は、新規のサプライヤーと取引を行う場合は事前に「伊藤忠商事サプライチェーンCSR行動指針」を全ての当該サプライヤーへ通知しています。本方針の趣旨に違反する事例が確認された場合には、対象となるサプライヤーに是正措置を求めるとともに、是正要望等を継続的にも行ったにも関わらず、是正が困難と判断された場合には、取引を見直す姿勢で取り組んでいます。
また、ISO26000の7つの中核主題を必須調査項目(現代奴隷および人身売買を含む)としたデューデリジェンスを、主要なサプライヤーと新規投資の際に実施しています。専門的な見地を必要とする投資案件については外部専門機関と共に、追加のデューデリジェンスを実施しています。

リスクアセスメント

デューデリジェンスでのサプライヤー調査に加え、適宜、外部専門家と共に現地訪問を行うグループ会社実態調査を通じて、現代奴隷および人身売買を含む人権に関するリスクアセスメントを実施しています。また社会・地球環境及ぼす影響の大きい商品については商品別に調達に関する方針や対応を定め、サプライチェーンでのリスク軽減を図っています。

研修

組織長研修、海外赴任前研修などの社内各種研修において、企業活動と人権の関わりについての啓発を行っています。また、サプライヤーとのコミュニケーションに関するハンドブックを作成し、調査担当者がより具体的に重要サプライヤーの人権・労働慣行の管理状況の実態を把握し、改善アドバイスも行うことができるチェックの仕組みを展開すると共に、社員周知に活用しています。

「ビジネスと人権」に関するダイアログ開催

2014年度のCSRアドバイザリーボードは「ビジネスと人権~地域社会との関わり~」をテーマとして開催しました。詳しくはこちらをご参照ください。

人権の尊重に関する社内教育啓発

社内各種研修での教育啓発

2015年度人権に関する研修実績
  参加人数
新入社員研修

131名

新任課長研修

51名

海外赴任前研修

275名

社内の各種研修において、企業活動と人権の関わりについての啓発を行っています。新入社員研修では伊藤忠パーソンとして持つべき人権を尊重するマインド、例えば人権の基本的な考え方や留意事項から、国籍・年齢・性別(LGBT:性的少数者含む)に対して配慮することなどを習得するための研修や、組織長等に向けた社内研修では、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントの問題を取り上げ、人権に関する理解の徹底を図っています。また、海外赴任前研修においてはサプライチェーン上の人権への配慮について取り上げ、各地域での意識の啓発に努めています。2015年度の人権に関する研修には457名が参加しました。

「ビジネスと人権」に関する社員啓発

世界で多様な事業を展開しサプライチェーン上の重要な役割を担う総合商社として、企業活動と人権問題に関する最新の動向などを知り、ビジネスに活かすことを目的として、「ビジネスと人権」について啓発活動を行っています。

2015年度は、社員として最低限知っておくべきCSRに関する知識として全世界の社員を対象に、「ビジネスと人権」に関するe-learningを実施しました。本プログラムは「国連 ビジネスと人権に関する指導原則」や企業の人権尊重責任に関する事例を踏まえた内容で、単体社員と海外ブロック社員あわせて対象者6,669人のうち、6,669人、100%の社員が回答しました。

24時間体制の社員相談窓口の設置

[写真]
イントラネット上の「人事Help Guide Book」
社員相談窓口・ホットライン

社員が個々に抱える悩みや相談に対応する社員相談窓口「7830(ナヤミゼロ)」を設置、イントラネットに「人事Help Guide Book」を掲載して相談窓口について広く社員に周知し、社員が相談できる体制を整えています。また、社外へのホットラインも開設しています。

キャリアカウンセリング室

当社では、「キャリアカウンセリング室」を、他社に先駆けていち早く設置し、個人のキャリアに関する相談のみならず、職場風土、人間関係、処遇、ハラスメントなどに関する相談を、電話・FAX・e-mail・郵便などで受け付け、専任の室員が対応しています。

各種発行物を通しての啓発活動

全社員に配布しているさまざまな発行物等を通して、職場における人権侵害が起きないように人権啓発に努めています。

  • 伊藤忠グループ企業理念・企業行動基準を全社員に解説する小冊子において、人権の尊重に関する基本的な考え方を伝えています。
  • コンプライアンスハンドブックでは「人権の尊重」や「パワハラ・アルハラ」のページを設け、具体的な事例を挙げて、職場における人権侵害が起きないように呼びかけています。
  • 常時携帯できるサイズのマナーカードには、ハラスメントの厳禁などのルールを記載しています。

公正な採用の実施

当社では人物本位の採用を実施しており、年齢・性別・国籍等にとらわれない公平・公正な採用を実施しています。2015年度には公益財団法人 東京都人権啓発センターの講師より人権教育を実施し、その内容を面接官教育にも反映させています。また、公正採用選考人権啓発推進員の選任及び届け出を行い、公正な採用選考システムを確立しています。