1年次の活動とその成果

インド移動図書館プロジェクト1年次の活動の成果と進捗状況は以下の通りです。

活動1:移動図書館を通じた教育の機会の提供

バスの購入及び移動図書館(MLC)としての整備

他州にある既存のMLCを参考にしながら、現地の条件に適したデザインを設計し、本やマルチ・メディアの配置を行いました。スタッフの定期的なモニタリングの下、3月末には外装・内装ともに完成しました。伊藤忠のコーポレートカラーである青のラッピングを施し、椅子、黒板、そして本棚を設置、子どもたちの興味をひくように学校に近い学習環境の内装にしています。

バス右側には「Ride to School」のスローガンに加え伊藤忠商事のロゴを記載、セーブ・ザ・チルドレンのロゴの横には「すべての子どもたちは教育を受ける権利を持っており、教育は子どもたちに夢と希望を与えます」とヒンディ語で記載しています。

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バス外観
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カラフルなバス内装

開所式の開催

2014年6月12日児童労働反対デーの日に、在ムンバイ日本領事館を来賓に迎え、伊藤忠インド会社からの出席者と子どもたちで開所式を行いました。

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開所式の様子
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開所式には多くの地元の方々が集まりました
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MLCに乗って喜ぶ子どもたち

移動図書館にて子どもたちへ読み書きの機会を提供

  • MLCの完成前には、セーブ・ザ・チルドレン・インドの事務所に仮設教室を設置して、子どもたちに対する授業を開始しました。
  • MLCが完成した後は、早速MLCでの授業が始まり、1年間で686人の子どもたちがMLCに登録しました。
  • 3歳から14歳までの子どもたちが通っているため、授業を進めるのに難しい点もありますが、少しでも知識と技術を身につけ、正規の教育機関に入学(復学)できるよう支援しています。
  • 国語、科学、算数、美術・工作の科目について計画を立て授業を実施、また、それぞれの年齢に合わせた本や授業に必要な文具なども提供しています。
  • 「子どもにやさしい環境さえあれば、子どもたちは創造的になり、勉強に興味を持つことができるようになる」とインストラクターが話しています。
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MLC完成前のセーブ・ザ・チルドレン・インド事務所での授業
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MLCでの子どもたちによる読み聞かせのセッションの様子
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ウルドゥ語のレッスン

活動2:児童労働撲滅へ向けた意識向上のための活動

  • 300人の子どもたちがライフスキルを学ぶために子ども会活動に参加しました。
  • 600人の保護者にカウンセリングを実施しました。
  • 15か所で子どもの権利や教育の権利に関する啓発活動を実施しました。
  • 770人の子どもたちが就学前の教育を行う公立の就学前教育施設に入学しました。
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事業スタッフと学生ボランティアよる家庭訪問とカウンセリングの様子
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カウンセラーが親たちを訪問
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ボランティアたちが家庭を訪問し、親たちへのカウンセリングを行っている様子

活動3:児童労働からの解放と正規の学校への入学

  • 啓発を目的とした10か所で15の劇を実施しました。(テーマ:「教育の権利」、「学校に戻ろう(Back to School)」、「学校運営委員会やPTAの役割と責任」など)
  • 227人の子どもたち(女:152人、男:75人)がお絵かきアクティビティに参加しました。
  • 84人の子どもたちが正規の学校に入学しました。
  • 330人の子どもたちがライフスキル (コミュニケーション、リーダーシップ)を学びました。
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子どもたちがアートとお絵かきををしている様子
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お絵かきクラスの子どもたち
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地元の警察官による子どもの保護に関する授業の様子

ケースストーリー

ルビナさんのケース

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ルビナさん(真ん中の緑色のスカーフをかぶった女の子)

登録者の一人、ルビナさんは両親そして5人の兄妹とビハール州の小さな貧しい農村に暮らしていました。小学校2年生になったころ、家計を助けるために学校を退学して働くことを余儀なくされましたが、ルビナさんの祖母がどうにかして学校に通わせてあげたいと、叔父の家に彼女を連れて移住しました。
しかし、彼女は叔父の家でも家事労働をする日々が続き、祖母はふがいなさを感じていました。そんなある日、訪問調査を行っていたセーブ・ザ・チルドレンのスタッフと出会い、ルビナさんをMLCに通わせることができるようになりました。
MLCで勉強の遅れを取戻し、再び学校に通うようになり、ルビナさんは明るい子どもになりました。今も家事をしていますが、時間を見つけてMLCに通い、学校の勉強の復習をしたり、アートクラスを楽しむことができるようになりました。


シャビールさん、アリファさん、ワジダさんのケース

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シャビールさん(右から二人目)、アリファさん(ピンクのドレス)、ワジダさん(最前列グリーンのドレス)

シャビールさん(12)、アリファさん(11)、ワジダさん(10)たち兄妹に出会ったころ、彼らは学校に通うことなく、近所で遊んだり、ぶらぶらする日々を過ごしていました。両親は子どもたちを学校に入学させるための「正式な書類」を準備できないという理由から、学校へ通わせていなかったのです。MLCに登録後、スタッフが入学手続きをサポートし、兄妹は無事学校に通い始めることができました。ワジダさんは「学校に入ったとき、とてもうれしかった。私たちには学校に通うお金がないとあきらめていたから。入学できたことが、今でも信じられない!!」と大変喜んでいます。

伊藤忠インド会社のボランティア

ムンバイ支店から参加した社員ボランティアの声

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伊藤忠インド会社のボランティア一同
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子どもたちとMLCの中で

11月14日はインドの初代首相ジャワハルラル・ネルーの誕生日で、インドではこの日を「子どもの日」としてお祝いしており、学校や多くの教育関連NGOがさまざまな子ども向けイベントを年齢ごとに実施します。この一環として、当社の移動図書館プロジェクトのパートナーであるセーブ・ザ・チルドレンは、ムンバイ市M-East区でお絵かきイベントを実施しました。
ムンバイ支店からは、8名のスタッフが当日のお手伝いをしました。移動図書館に登録する子どもたちのうち約40人がお絵かきイベントに参加し、彼らが描いた作品は額装されました。子どもたちは「夢の学校」などといったテーマで絵を描き、伊藤忠のスタッフはセーブ・ザ・チルドレンのスタッフとともに、子どもたちのお絵かきをサポート・指導しました。

私たちは、夢中になって楽しんでいる活発な子どもたちとの交流を楽しみ、「子どもの日」にこのような機会を得たことを、何よりもうれしく思いました。教育は、誰の人生においても大切な役割を果たします。伊藤忠が会社ぐるみでこの子どもたちのために活動をしているというのは、素晴らしいことです。

  • 全ての写真はセーブ・ザ・チルドレンの提供によるものです。