小売業・サービス業に見る省人化最前線

CASE❷ 東芝テック株式会社

店舗起点のバリューチェーンにトータルソリューションを提供

小売店や飲食店などに導入されているPOSシステムの最大手で、近年もセルフレジの需要拡大などを追い風に業績を伸ばしている東芝テック株式会社。小売業界が人手不足に悩む中で、店舗起点のバリューチェーンに対してトータルソリューションの提供を目指す同社に、現在注力している取り組みや小売現場のこれからについて伺った。

東芝テック株式会社 リテール・ソリューション事業本部 商品・マーケティング統括部 専門店ソリューション商品部 統括部長 平澤豊樹氏

平澤豊樹

東芝テック株式会社 リテール・ソリューション事業本部 商品・マーケティング統括部 専門店ソリューション商品部 統括部長

店舗まわりの多様な課題に対応する

小売業、飲食業、物流・製造業、オフィスなどのお客様にベストソリューションを提供し続ける企業を目指し、100を超える国や地域で事業を展開してきた当社は、2019年に発表した中期経営計画において、「店舗・オフィスを起点に顧客現場の課題を解決するソリューションパートナー」という新たなビジョンを掲げました。その中で、プリンティング事業とともに当社のビジネスの二本柱となっているのがリテール事業です。

小売業は今、人手不足の深刻化や人件費の高騰、決済手段の多様化、IoTの普及による店舗スタイルの変化、オンライン通販の拡大が及ぼす実店舗への影響など、さまざまな課題に直面しています。当社のリテール事業では、これらの課題に対し、店舗における省人化対応、新たな購買体験の提供、マルチ決済ソリューション、販促に貢献するデータサービス、製造・物流における生産性の改善や在庫削減など、店舗起点のバリューチェーンにさまざまなソリューションを提供していくことを目指しています。

購買体験を向上させる決済システム

店舗におけるソリューションとして現在注力しているのは、商品バーコードの読み取りを店舗のレジスタッフが行い、支払いをお客様自身が行うセミセルフレジです。すでにスーパーなどではセミセルフレジの普及が進んでいますが、今後はコンビニなどで利用されているフルセルフレジに加え、バーコードスキャナを搭載したカートでお客様が店内のどこでも商品を登録できるカート型セルフレジの導入が進むことで、カート内の商品情報に基づいたリコメンデーションなども可能となり、店舗側の販売促進に貢献できるとともに、お客様の購買体験も大きく向上するはずです。

画像認識技術を活用した商品のオートスキャンや、スマートフォンのPOSアプリなどの普及によって、決済効率化の流れがさらに加速することが予想されています。こうした中、今後は主力事業である店舗POSシステムのみならず、実店舗とオンラインの垣根を超えて、小売業務全体をサポートしていきたいと考えています。

働き手が接客に専念できる環境を

ファッション専門店においては、RFIDタグを活用し、商品を一括で読み取るセルフレジの提供を進めています。アパレル業界では、バックヤードの商品管理などでRFIDを導入している企業も多いため、決済はもちろん、店頭でのデータ収集やマーケティングなど、あらゆるシーンで業務効率化に貢献していきたいと考えています。

働き方改革が推進されている昨今、こうした小売店の業務効率化はリテーラーの省人化やコスト削減を実現するだけでなく、働き手が接客という本来注力すべき仕事に専念できる環境を整えることにもつながります。アパレル店舗などにおいても、さまざまな雑務に時間を割かれ、本来希望していた接客業務が十分にできないという理由から離職してしまう販売スタッフもいる中で、我々が提供するソリューションは「人手不足」への対応に加え、「人材離れ」を防ぐという点でも大きな役割が果たせると考えています。

バーコードスキャナ搭載のカートでセルフレジを実現
バーコードスキャナ搭載のカートで、商品を選びながらその都度登録するセルフレジを実現。
アパレル分野の省力化を実現するRFIDタグ
アパレル分野では、RFIDタグを活用することで、在庫管理はもちろん、セルフレジによる省力化も実現できる。