Managemant Eye

健康が持続できる社会に貢献したい

「相手の立場に立つことで心の満足をつくる」

RIZAPグループ株式会社 代表取締役
瀬戸 健

リレー形式で経営者の方にご登場いただくのが、この企画です。今回は、伊藤忠商事の岡藤正広会長CEOからバトンが渡されました。

岡藤さんと出会ったのは10年以上も前になりますが、若輩である私の話にも真摯に耳を傾けるなど、常に学ぶ姿勢をお持ちであることに、驚きと感銘を受けたことを今でも鮮明に覚えています。弊社のジムにも通っていただき、非常にストイックにトレーニングに励まれる姿にスタッフも驚いていました。お会いして以来、岡藤さんは、私が尊敬し、大好きな経営者のお一人でいらっしゃいます。

今、注目されている経営上のテーマはなんでしょうか。

RIZAPでは「結果にコミットする。」を謳っていますが、それは「お客様が求めている姿、夢を実現する」ということです。そして、期待を上回る感動を提供したいと思っています。それには、まさに岡藤さんが提唱されている「マーケットインの発想」が必要になります。戦後の日本は、着る物や食べる物を生活に必要最低限の機能としてとらえていました。しかし経済が成熟してくると、物には、自分をよく見せること、あるいはより充実した生活を送るという自己実現を満たすことが求められるようになりました。レストランもそうですね。コンビニでも美味しい食べ物は手に入りますが、それでも素敵なレストランへ行くのは、大切な人と幸せな時間と空間を共有したいといった心の満足を求めるからでしょう。お客様が商品やサービスを通して何を求めているのか。それを考えることがマーケットインであり、経営の一つの視点として重要であると思っています。

長く同じ業界にいると、会社のルールや慣習に縛られて、プロダクトアウトの考え方になりがちです。また、目に見える物や数字にとらわれることも多くなってしまいます。RIZAPでは、トレーニングで体重を減らすことを目的とせず、その先にある生き生きとした自分との出会いによってお客様の満足をつくる、そんなサービスを提供したいと考えています。トレーナーには、まだ見えていないお客様の姿が見えています。その「なりたい姿」を叶えるために、徹底的に寄り添い、支えさせていただいています。

人生100年時代といわれる昨今、人々はもちろん、企業経営においても「健康」がキーワードになっています。

社会保障費用の増加が深刻化している今、私たちが提供しているサービスでこの社会問題を解決できないかと常々考えてきました。RIZAPでは、自治体や企業向けに法人セミナーのプログラムサービスを提供しています。自治体では、住民の方々に提供したサービスの結果、削減できた医療費の中から、成果報酬をいただいています。さらに、弊社のトレーナー育成のノウハウを活用し、元気なシニアの方にトレーナーの代わりになっていただき、シニア同士でチームをつくって互いに健康を支え合えるサポートの仕組みづくりも始まりました。人から必要とされ、それによって自分も周囲も変わっていく。それが実感できれば、新たな生きがいづくりにもなるはずです。そうした場をつくることで、社会保障費用の削減と、健康を持続できる社会づくりに貢献したいと考えています。

RIZAPのトレーナー陣
RIZAPでは指導技術や専門知識に加え、寄り添うマインドを持つトレーナーが、お客様の求める結果へと導く。
シニアを対象とした健康増進の取り組み
すでに、1人のトレーナーによる複数のシニアを対象とした健康増進の取り組みが始まっている。