新40代メンズ市場の今を視る
—座談会—
加齢とともに強くなる男性ならではの願望

伊藤徹也氏
大塚製薬株式会社 ニュートラシューティカルズ事業部 コスメディクス事業部門 統括部長
男性のスキンケアには人間関係を良好にする期待も (伊藤)
小原:若い男性と話をしていると40代の男性を憧れの対象としている人もおり、それはこの世代がファッションに敏感で、美容や健康への意識も高いからではないかと思っているのですが、皆さんは40代男性の趣向をどのように見ていらっしゃいますか。
松崎:40代男性の特徴だと感じるのは、変身願望の強さです。年齢を重ねていく中で、新しい自分になりたいという願望を持っている方が多く、サングラスや伊達メガネなどがよく売れますし、普段スーツなどを着ない方にジャケットをご提案すると反応が非常にいいんです。ただ、この世代には独身で、スキンケアやフィットネスなど自分を磨くためにお金を使える方から、成人前のお子様をお持ちで家族のための出費がかさんでしまい、アウトドアなど週末の余暇くらいにしか投資ができない方までタイプはさまざまなので、ファッションに対する意識も二極化とまでは言いませんが、温度差はあると感じます。
伊藤:今の40代は、若い頃にトレンディドラマで人気の俳優さんたちを見ていた世代で、男性は日焼けをしていた方がかっこいいという価値観がありました。それが肌をいじめ続けてしまうことにつながり、40歳を過ぎた頃からシミやシワが目立つようになって、スキンケアの必要性を感じ始めたという方も多いと思います。この世代における男性のスキンケアは、かっこいい自分、できる男になりたいという願望が強いと思うのですが、一方で肌を健康に保ち、清潔でいることで相手に不快な思いをさせたくない、人間関係を良好に保ちたいという欲求もあり、「ウル・オス」のユーザーには後者が多いと感じています。
浅尾:最近は健康経営の観点から、「タニタ食堂」では企業向けに、「タニタスマートチャンレンジ」というプログラムを提供しています。これは、参加を希望される従業員の方に1カ月間「タニタ食堂」を利用していただき、体重と体脂肪率の適正化を目指すものです。男性の参加者が多く、1カ月で3、4キロ減量する方もいらっしゃいます。40代前後の男性は、このように数字として結果が出るものには積極的に反応していただける実感があります。ただ、この期間だけで終わってしまうと意味がないので、「タニタカフェ」など日常的に利用していただける場を提供していくことも大切だと考えています。


