新40代メンズ市場の今を視る

—座談会—

背中を押して行動を促すコミュニケーション

株式会社タニタ食堂 取締役 営業本部長 浅尾祐輔氏

浅尾祐輔

株式会社タニタ食堂 取締役 営業本部長

「健康」面だけではなく商品としての魅力や楽しさ、手軽さが不可欠 (浅尾)

小原:40代男性はこだわりが強く、好きなものを掘り下げていく傾向があるので、情報の発信源としても影響力を持ち得ると思うのですが、私たちの調査では、この世代にはSNSをあまり使いこなせていないと感じている人が多いという結果も出ています。こうした世代に対して、どのようなコミュニケーションを行うことが有効だとお考えですか。

松崎:まさにおっしゃる通りで、40代の男性はSNSをあまり積極的に使われていない方が多く、消費の裾野が広がりにくい原因になっていると感じます。また、私たちはEC化率が約20%で、大半が実店舗での販売になることもあり、店頭でのコミュニケーションが重要だと考えています。特に衰えを感じ始めている40代男性のお客様の中には、自分のファッションスタイルに自信が持てなくなってきており、新しい情報も持っていないという方が少なくないので、こちらの提案を素直に受け入れてくれるケースが多いというのも一つの特徴だといえます。

伊藤:私たちの場合は、店頭での接客機会がほとんどないので、ドラッグストアなどで目に付きやすい場所に製品を置いていただいたり、POPで製品説明をするということを心がけています。また、年間10~20万人ほどの方たちにダイレクトメールとともにサンプルを送ったり、イベントで配布するなどしてブランドの周知を図る活動も行っています。40代男性の中には、スキンケアの必要性を感じながら、何から始めたらいいのかわからないという方が多いので、この製品を使うとこういう効果が得られるということを簡単に理解できる形で伝え、背中を押して差し上げることが肝要だと考えています。

浅尾:タニタ食堂では、一日のうち一食だけでも栄養バランスが取れ、カロリーを抑えた食事をすることを提案しています。あまり堅苦しく考えてもらうのではなく、お客様に対してちょっとした意識付けをしていくことが大切だと思っています。例えば「タニタ食堂」では、ゆっくり咀嚼することの大切さを啓発するために、席にタイマーを置いて、「最低20分はかけて食べてください」という提案をしています。利用する方は多く、はかることが健康的な食べ方を意識していただくきっかけになっています。こうした行動を日々の生活にも取り入れていただけるといいなと考えています。

「タニタカフェ」有楽町店
「タニタカフェ」有楽町店。「楽しさ」「心地よさ」といった心の健康づくりのためのメニューと「場」を提供している。
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オフィス街の出店では主菜のボリュームを増やすなど、男性が手に取りたくなるアプローチをしていく。
一汁三菜の定食メニューを提供する「タニタ食堂」
「タニタ食堂」では、一汁三菜の定食メニューを提供。管理栄養士から無料でアドバイスを受けられるサービスも。