新40代メンズ市場の今を視る

—座談会—

人生100年時代を見据えた「楽しくなる」提案を

伊藤忠ファッションシステム株式会社 ナレッジ開発室 室長 小原直花氏

小原直花

伊藤忠ファッションシステム株式会社 ナレッジ開発室 室長

楽しい人生のための動機付けや習慣付けに期待 (小原)

小原:最後に、新40代男性に向けた新たな取り組みとして予定していることや、今後の展望などについてお願いいたします。

松崎:大量廃棄が問題視されるなど、ファッション全体に逆風が吹いていることを強く感じています。また、先ほど話したような自分の内面と向き合う、整えるという志向も「装う」という意味でのファッションとは対極にある価値観かもしれません。その中で、我々としてはメッセージの伝え方というものがより重要になってくるはずですし、人生100年といわれる時代に、衰えを感じ始めている男性たちに対してマインドが老けてしまわないようなご提案をアパレルのみならず、「食」や「住」などの領域においてもしていきたいと考えています。

伊藤:いま韓国の男性のスキンケア率は80%を超えており、「ウル・オス」も韓国市場ではトップブランドの一つとして認知されています。我々としても製品の質には自信を持っているので、まだスキンケアへの意識が低い日本人男性の間にもブランドを浸透させていくことに努めていきたいと考えています。やってみたくても背中を押してくれる人がいないということが普及を妨げている最大の要因になっているので、そうした部分を補う取り組みやものづくりを続け、男性が女性と同じようにスキンケアを習慣にする状況をつくっていきたいですね。

浅尾:冒頭にもお話ししたように、これから展開する「タニタカフェ」では、オフィスで男性が健康食を体験できる機会を積極的につくっていく予定です。また、これまで「タニタカフェ」が食品メーカーとコラボレーションする商品は女性向けが多かったのですが、今後は男性のお客様が利用しやすいラインナップを増やしていくつもりです。これらの商品を手に取っていただくためには、健康を前面に打ち出すだけではなく、商品としての魅力や楽しさ、手軽さというものも不可欠になってくると考えています。

小原:40代前後の男性の中には、衰えを感じながらも自分を変えるための行動になかなか移れず、現実の生活とのギャップにストレスを感じている人も少なくない気がします。ファッションにせよ、美容や健康にせよ、何かを変えようとするときにはポジティブな思いや行動が必要になりますが、皆さんにおかれましては人生100年時代の中で、階段を下っていくのではなく、モチベーションを維持してより楽しい人生を送るための動機付け、習慣付けにもつながるビジネスを続けていただきたいなと思います。本日はありがとうございました。

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