Managemant Eye

お客様も社員もみんながハッピーになるために

「体の汗をかかずに、頭の汗をかいてほしい」

株式会社ジャパネットホールディングス代表取締役社長 兼 CEO 髙田旭人
株式会社ジャパネットホールディングス代表取締役社長 兼 CEO
髙田旭人

この企画は、リレー形式で経営者の方にご登場いただいていますが、今回は、RIZAPグループ株式会社の瀬戸健代表取締役からのバトンとなりました。

瀬戸さんとは前社長時代からのご縁があり、今は同世代の経営者を中心としたネットワークで親しくさせていただいています。私はボトムアップを目指しつつ、最後の意志決定にはしっかりと関わるタイプですが、瀬戸さんは権限のある人に任せるタイプの経営者です。私とはまったく違うアプローチで事業を成長に導いているところが大変興味深いですね。

2015年に社長に就任してからは社内改革に取り組まれ、「働き方改革」をいち早く実践されています。

前社長は創業者でカリスマ性もあり、社員みんなが社長を信じてついていくというスタイルで、それが一体感となって業績を伸ばしていました。当時は創業後の事業拡大フェーズで、「長時間働く人が頑張っている」と捉えられることもありましたが、必ずしも長時間働くことが成果につながるわけではないと感じていました。そこで、就任直後から「一人ひとりが意志を持ち、勤務時間内に効率よく仕事をすることで生産性を上げることが、結果的には会社の成長につながる」との信念のもと、ノー残業デーや残業時間の制限、オフィスのフリーアドレス化、土日も加えた9連休、16連休の長期リフレッシュ休暇制度などを立て続けに導入しました。長期リフレッシュ休暇に関しては、心身のリフレッシュと合わせて、仕事が人につかない環境づくりを目的にスタートさせました。社内の情報共有も進み、部下が上司の仕事の大変さを知ったり、上司が部下の仕事ぶりを再認識したりと、業務を客観視できる効果も生んでいます。

また、デスクやキャビネット内で不要と思われるものは徹底的に捨てました。机に物を置いて帰らない、ノートパソコン1台と小さなボックス1個しか持たないといったルールを設け、キャビネットの中も定期的にチェックするなど、細かなところまで改革しました。ルールは守ることが目的になりがちですが、何のためにやるのか、その急所を押さえるためにもフォローはしっかり行っています。

施策の目的を浸透させるためには、コミュニケーションも大切ですね。

グループ全体が同じ方向を向くには、社長、役員、部門長、課長・課長代理が中心となって実行していくことになります。そのため、役職者とはccを入れずに1対1のメールで互いに忌憚のない意見を交換しています。また、年に1度の「拡大部門長会議」では、約200人の役職者にテストを行い、合格した100人だけが合宿研修に参加できます。テスト問題は、社内ルールから社長メッセージまで多岐にわたります。テスト前は社内報や取材記事を読み込んだりと、自ずと経営層の考えが浸透するといった好循環も生まれています。

こうした「働き方改革」は、経営にどのような影響を与えているのでしょうか。

経営と「働き方改革」は密接につながっています。生産性の向上には、無駄を省いて効率化するだけでなく、かけた手間をいかに価値に変えられるかが問われます。例えば商品数を減らして、個々の商品紹介に精力を傾けることで売り上げにつながれば、商品を手にしたお客様も、売り上げに貢献した社員も、そして会社もハッピーになります。そうした積み重ねが、業務改革や「働き方改革」になっていくのです。それに気づき、考え、行動することが大切で、社員には「体の汗はかかずに、頭の汗をかいて」とよく話しています。私自身も頭の汗をかきながら、みんながハッピーになるような経営を目指したいと思っています。

ジャパネットの放送風景
テレビをはじめ各メディアを通して、商品紹介だけでなく、その先にある豊かな暮らしを伝えている。
パラスポーツ体験の車椅子バスケット
昨年の「拡大部門長会議」のレクリエーションでは、パラスポーツ体験として車椅子バスケットが行われた。