令和時代のサービス最前線
—Part1—
CASE❷ 株式会社 Tyme Tech Lab
知識や経験を持つファッションオタクを悩みを抱える消費者とつなぐプラットフォーム
「ファッションアテンダント」はサイトに登録されたアテンダントの中から、趣向やエリア、時間帯などの条件を満たす人を選び、買い物の同行・サポートを依頼できるサービスだ。ファッションに関する悩みを抱えるユーザーと、センスやノウハウを持つアテンダントをつなぎ、「スキルシェア」「タイムシェア」という観点からも注目を集める同サービスの創業者に取材した。

横路一樹氏
株式会社 Tyme Tech Lab 代表
お悩み解決型買い物同行サービス
私は学生時代からフリーマーケットでスニーカーの販売などを行い、その後ブランド古着を扱うショップを開業しました。ビジネスは順調に成長し、新潟に4店舗、東京に1店舗を持つまでになったのですが、ブランド古着店という業態に限界を感じるようになり、30歳で事業を売却しました。そして、前職の経験を生かし、パーソナルスタイリストなどをするようになりました。やがて自分のようなプロでなくても、センスのあるファッション好きの人たちが、ファッションに関する課題を抱える人たちをサポートできるようなプラットフォームをつくった方がよいのではないかと考えるようになり、買い物同行サービス「ファッションアテンダント」を立ち上げました。
共感を生むコミュニケーション設計
現在の主なユーザーは20~30代の女性ですが、婚活中の方から旦那様のファッションに不満を抱える主婦の方まで、さまざまな用途でご利用いただいています。ユーザーの大半はいわゆるファッション感度が高い人ではなく、むしろファッションに関する悩みを抱える方からのご相談が多いため、アテンダントの審査においても、ファッションセンス以上に問題解決能力やコミュニケーション能力に重きを置いています。
アテンダントのマニュアルに「接客禁止」を掲げているように、ユーザーとの関係性においては、プロとお客様という間柄ではなく、友人のような親近感を抱いていただけるように努めています。そのため、両者のコミュニケーションツールにLINEを使ったり、ユーザーやアテンダントの「生の声」を動画インタビューとしてお届けしたりするなど、共感を生むようなコミュニケーション設計を行っています。
大きく変わるファッションセンスの定義
ファッションに関する情報が氾濫する中で、昨今の消費者はこれらを精査する知識や時間がないという理由から、最適な洋服を見つけられないという課題を抱えています。こうした中で近年は、セレクトショップやプロのスタイリストなどが選ぶような最先端のファッションを着こなすよりも、リアル店舗、ECサイト、あるいはセールやフリマアプリなどさまざまなチャネルを駆使し、自分に合った洋服を安く、上手にピックアップできる人が「センスがよい」とされる風潮になりつつあります。「ファッションアテンダント」では、こうした知識や経験を持つファッションオタクたちが提供する価値に、しっかりと対価が支払われるような循環をつくっていくことを目指しています。
今後は、「ファッションアテンダント」のノウハウを生かし、直接対面せずに、オンラインチャットを通じて買い物の相談ができる新サービス「チャットバイザー」の立ち上げを予定しています。取り扱う領域もファッションのみならず、化粧品、インテリア、ガジェット、スポーツ、アウトドアなどに拡大し、より広範な課題解決に寄与していきたいと考えています。


