令和時代のサービス最前線

—Part2—

CASE❶ 株式会社CAMPFIRE

「マス」から「個」へシフトするコミュニティ型消費を後押し

2011年に日本におけるクラウドファンディングサービスの草分けとして登場し、これまで(2020/5/18時点)に延べ260万人以上から総額230億円を超える支援を集めてきた株式会社CAMPFIRE。2月末には、業界に先駆けて「新型コロナウイルスサポートプログラム」を立ち上げ、大きな反響を巻き起こすなど、成長を加速させている。同サービスの責任者 篠原陽子氏に伺った。

株式会社CAMPFIRE 事業責任者 篠原陽子氏

篠原陽子

株式会社CAMPFIRE 事業責任者

支援の動機は「共感」と「透明性」への信頼

「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」は2011年のサービス開始以来、資金調達の民主化を掲げ、起業支援、商品開発、地域活性、社会貢献などジャンルを問わず、主に個人の起業家やクリエイター、中小事業者の資金調達を支援してきました。昨今のクラウドファンディングサービスの認知度向上を追い風に、「CAMPFIRE」においても支援者数は増え続けていますが、中でも近年は、従来のSNSからの流入のみならず、専用アプリを使ったり、クラウドファンディングサイトを回遊したりしながら、支援先を探している方たちが増えています。

その背景には、商品の均質化が進む中で、「ここにしかないものを見つけたい」という消費欲求があり、通常のECサイトに比べ、製品やプロジェクトの背景にいる人の思いや開発ストーリーに共感できること、生産背景の透明性に安心できることなどが、消費の動機になるケースが多いことがクラウドファンディングの特徴だといえます。

コロナ禍で加速する「応援消費」 

近年は、特定の個人や事業者に対する「応援消費」というニーズが強まっており、新型コロナウイルスの影響を受け、その傾向は加速しています。

当社が創業した年に東日本大震災が起きたこともあり、有事の際にいかに動けるかということは会社としての大きなテーマであり、今回もサービス手数料の12%を免除する「新型コロナウイルスサポートプログラム」をいち早くスタートさせました。緊急事態宣言が発令された4月には、このプログラムを通じて、コロナ禍で経済的に被害を受けた飲食店や宿泊施設、イベント事業者などに約18万人から総額17億円の支援が集まり、前月から10倍増となる伸びを見せました。支援のリターンは、各事業者がアフターコロナを見据えたファンとの新しい関係性づくりのために知恵を絞っており、未来に使えるお食事券や宿泊プランなどが用意されるケースも多く、新規ファンの開拓につながっているケースも一部に見られます。

小さな経済の循環モデルをつくる

今回の出来事を機に、身近な個人や中小事業者を応援するような消費の在り方はますます加速するはずです。クラウドファンディングは短期的に資金を集めるツールという認識が強いですが、継続課金型のプラットフォーム「CAMPPFIREコミュニティ」においては、継続的に飲食店などを応援するコミュニティも生まれています。今後も私たちはこのような小さな経済が循環していくような消費のあり方を後押しできるプラットフォームでありたいと考えています。

こうした時代の変化の中で、大量生産大量消費の考え方を基盤としてきた大企業においても、小さなコミュニティをターゲットに、顧客やファンとの濃い関係性を築いていくようなマーケティングが求められてくるはずです。その一助として、今後もクラウドファンディングがお役に立てるケースも増えてくるのではないかと考えています。

「CAMPFIRE」アプリ
「CAMPFIRE」にはアプリも登場し、より手軽に応援・支援ができるようになっている。
サービス開始から4月末までの累計流通額が200億円に到達
2020年4月単月の流通額が22億円(前年同期比415%)・支援者数22万人、サービス開始から4月末までの累計流通額が200億円に到達した。