プロのスタイリストが選んだ洋服が届けられる月額制ファッションレンタルサービスを提供して支持を集める株式会社エアークローゼット。コロナ禍においても、自宅完結型のファッションEC「airCloset Fitting（エアクロフィッティング）」を開始するなど、パーソナルスタイリングを軸としたさまざまなファッションとの出会いを提案している同社の代表取締役社長 兼 CEO 天沼 聰氏に取材した。

今年2月に5周年を迎えた「airCloset（エアークローゼット）」は会員数が計30万人を突破し、蓄積した実績データも2,000万件を超えました。当社では、主にデータ解析・AI開発を主導する専門チームを組成しており、スタイリストとお客様のマッチングや在庫最適化、物流・メンテナンスなど、さまざまな分野でのデータ活用を進めています。

テクノロジーというのは、ファッションという領域において非常に大切な感性というものを時に妨げてしまうことがある一方、使い手の発想次第でより感性が発揮しやすい状況をつくることも可能です。「airCloset」ではスタイリストのセンスを重視し、それぞれのお客様に合わせて一着一着お洋服をお選びすることにこだわってきましたが、会員数が増え、データが蓄積されるほど、セレクトの効率や精度を高めることができています。このように我々はテクノロジーを感性の支援ツールと捉え、サービスのユーザー体験を高めることに努めてきました。

エアークローゼットは、「発想とITで人々の日常に新しいワクワクを創造する」というミッションのもと、テクノロジーを使うことを目的とするのではなく、どのような発想でITを活用するべきかという視点を大切にしています。

先日、既存のパーソナルショッピングアプリ「pickss（ピックス）」をリニューアルした提案型ファッションECサービス「airCloset Fitting」をスタートさせました。専用アプリでファッションの好みや体型、お悩みなどを入力すると、スタイリストが選んだ5点のお洋服が届けられ、ご自身のワードローブとの相性なども確認しながら、気に入ったお洋服だけを購入できるサービスです。このサービスを通して、失敗することなく自宅でショッピングを完結できるという新しいお買い物体験を提案していきたいと考えています。

新型コロナウイルスの影響により、我々もリモート会議などに使えるトップス3点のみをお届けする期間限定の対応など、さまざまな施策を行いました。今後も外出に一定の制限が強いられる状況が続くことが予想される中、ファッション業界が受ける打撃は相当なものになるはずです。一方で、ファッションの大切さや、ファッションとの出会いを求めるニーズはこれからも変わらないものだと思いますし、外出の機会が少なくなるからこそ、おしゃれを楽しむことで生活にメリハリをつけたり、気分を切り替えるという新しいファッションの在り方や役割が生まれてくるのではないでしょうか。

そうした中で、先に話した「airCloset Fitting」や、外出自粛期間中に試験的に行った、ビデオツールを用いたオンラインでの遠隔スタイリングサービスなど、我々のテクノロジーを活用することでファッションとの出会いのバリエーションを広げ、ワクワクする時間をさらに増やしていきたいと考えています。