Managemant Eye
ビジョンを掲げて心を一つに取り組む
「日本一楽しいスーパーへ、ようこそ!」

梅原一嘉氏
リレー形式のこの企画、今回は、フクシマガリレイ株式会社の福島豪専務取締役からバトンが渡されました。
17年ほど前に、福島さんから営業の電話をいただいたときからのお付き合いです。現在は専務取締役ですが、20代だった当時から人望があり、愛されキャラでした。お互い困ったときに相談するなど、公私ともに支え合っているという関係です。ありがたいですね。
「ベストモチベーションカンパニーアワード2020 中堅・成長ベンチャー企業部門」で3年連続第1位となりました。
現在、関西を中心に地域密着型の「Foods Market satake」と生鮮特化型「業務スーパーTAKENOKO」を約50店舗展開しています。31歳で父から社長を受け継ぎ、経営に携わる中、店舗数や従業員数が増えるにつれて売り場にも課題が見えるようになってきました。そこで、経営側の想いを伝えるためにも組織をしっかりつくることが急務と感じ、12年前に組織改革に着手したのです。その際に行ったのが従業員満足度調査で、結果はとても低いものでした。改めて一人ひとりのやる気や想いが大切だと知り、以来、ビジョンや理念の浸透などに丁寧に取り組んできた結果だと思います。
ビジョンや理念を全従業員が共有するために、どんな施策を行ったのでしょう。
もともとビジョンや理念は大嫌いでした。「そんな念仏唱えても売上は上がらへん」と。ところが社員数が増えてくると、それぞれ見ている方向が違う。どうしようと悩んだ末に、ビジョンや理念の必要性に気づいたのです。そこで役員で徹底的に議論しながら半年かけて策定し、2009年に全店舗を1日休んで、全社員総会「第1回ありがとう総会」を開催し、ビジョン・理念の発表と共有を行いました。 また、教育課を設置して、ビジョンや理念の意味、そこに込めた役員の想い、日本一楽しいスーパーのスタッフとしての在り方など、会社の大切なものを7項目に分けた「日本一楽しいスーパーの作り方研修」などの研修を年間延べ200回実施しています。中でも、ビジョンのパートは私自身が担当し、全従業員に直接、熱量をもって伝えるようにしています。
お客様からお見合い話をもちかけられた社員もいるそうですね。
ビジョンとして掲げる「日本一楽しいスーパー」とは、お客様に「会話があふれる楽しいお買い物の場」を提供することです。お客様の多くはスーパーマーケットを週3回以上、数十年にわたり利用されます。だからこそ、私たちは品質、鮮度、価格にこだわり、お客様にはスタッフとの会話の中でメニューや食材の知識を得ていただく楽しい場であってほしい。社内では「また来るわ」、「うちの近所に店つくってよ」など、39個の「ありがとうワード」を策定しています。ご質問の社員は、「お兄さん、お嫁さんいるの?」とお声がけいただき、これなどは最上級の「ありがとうワード」です。
楽しい場をつくるために創意工夫をし、それでお客様が喜んでくだされば、さらにモチベーションがアップする。お陰様で、そんな好循環ができてきました。10年前とは見違えるような企業になり、売上が伸び、何よりも利益が上がりました。人が育つと、企業も成長することを実感しています。
コロナ禍により、スーパーマーケットはライフラインとして大切な産業であり、働く人はエッセンシャルワーカーと認識されるようになりました。ですが、業界の地位はまだ決して高くはありません。私たちが「日本一楽しいスーパー」を実現することで、業界の地位向上にも貢献していきたいと考えています。

