コロナ禍で進むファッション業界のデジタル化
コロナ禍で急伸したECビジネス

浅沼孝信
伊藤忠商事株式会社 繊維デジタル戦略室長
浅沼:4月、5月はファッション業界でも実店舗がオープンできない状況が続きましたが、新型コロナウイルスの感染拡大が各社の事業に及ぼした影響についてお聞かせください。
植木:我々のビジネスは百貨店の卸が大きな割合を占めていたこと、また、ハンカチーフ市場は3月、4月が最繁忙期にあたることなどから、非常に大きな打撃を受けました。一方、EC売上に関しては、4月から2桁増が続き、今でも右肩上がりで伸び続けております。
細川:弊社も4月、5月の売上は非常に厳しい状況でした。当初4月に予定していた毎年恒例のフェアも開催がかないませんでしたが、4-5月の全社EC売上は前年比153%と好調でした。また、基幹ブランド「レリアン」の顧客は年齢層が高いこともあり、店舗に足を運びにくい状況が続く中、オンラインや電話を使った商品の紹介や受注などさまざまな工夫を凝らしています。
渡部:弊社ではECの売上が前年比220%を記録し、全体としても現状を保つことができています。卸に関しては、もともと地方の個店との取引が多かったのですが、コロナ禍によって各店のバイヤーさんがさまざまな面で難しい選択を迫られている中、オンライン上で発注ができる展示会サイトを用意するなどの対応を行いました。今のところなんとか戦えている印象ですが、21年春夏シーズンに向けて苦しい状況は続くだろうと見ています。
森本:「JOOR」では新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に広がり始めた2月、3月頃から、ヨーロッパを皮切りにアメリカ、日本などの既存ユーザーの受発注利用が増え、アクセスが2.5倍ほどに拡大しました。海外出張などが難しい状況になる中で新規のお客様も急増しており、5月以降、毎月記録を更新する形で登録社数が増えている状況です。



