コロナ禍で進むファッション業界のデジタル化

加速する各社のデジタル施策

株式会社トータルパッケージ 「MAGIC STICK」 Domestic Sales / Store Manager 渡部 陸氏

渡部 陸

株式会社トータルパッケージ 「MAGIC STICK」 Domestic Sales / Store Manager

デジタルでもわかりやすく、格好よく、クリエイティブな見せ方を追求する(渡部)

浅沼:巣ごもり消費、テレワーク、オンライン接客など、コロナ禍によって消費マインドから働き方までさまざまなものが大きく変化しました。その中でデジタル化がコロナ禍の時代を生き残っていくためのキーワードともなっています。伊藤忠商事でもあらゆる分野でDXに取り組んでいますが、各社における取り組みについてもお話しいただけますか。

植木:コロナ禍以前からの取り組みとしては、ECの強化に加え、経理・人事・総務部関連の管理業務のデジタル化などを行っていました。奇しくも今年の2月から事前申請を前提とした在宅勤務制度を導入予定だったのですが、コロナ禍の緊急処置としてリモートワークを推奨し、感染拡大防止に努めました。また、展示会にお越しいただけないお取引先様には、商品の特長などを紹介する動画を配信するなど、さまざまな対応を行いました。

細川:弊社では以前からECの強化に加え、商品の各店舗への振り分けや店舗間移動などの管理をデジタル化していました。新型コロナウイルスの感染拡大以降は、「Digital Revolution」という経営方針のもと、YouTubeやInstagramを活用した商品紹介、各店スタッフによるスタイリングコンペ、TV電話を使った接客サービス「レリアンコンシェルジュ」などをスタートしました。また、百貨店のVIP顧客向けに開催していた先行受注会「逸品会」を11月にリモートで開催することを決め、全国のお客様に各地の店舗やご自宅からご参加いただけるように準備を進めています。

渡部:コロナ禍を受け、オンラインでの訴求力を高めるために、公式サイトのバナーやヘッダーを動画に変えるなどの取り組みを行い、また、Zoomを活用したオンライン接客なども非常に好評でした。B2B向けの施策としては、およそ40型の新作を紹介する45分程度の映像を取引先に配信するとともに、PCやスマートフォン上であらゆる角度から商品が見られる360度画像を導入しました。さらに、各取引先に商品の生地スワッチなどもお送りし、対面せずとも商品の情報をわかりやすくお伝えするための工夫を行いました。

森本:360度画像はすでに海外版の「JOOR」で導入されており、日本のお客様にも10月頃からお使い頂ける予定です。また、「JOOR」ではアイテムごとに動画を紹介することもでき、これらの機能を活用していただくことで、オンライン上でも各商品の魅力やコーディネートの提案などが十分にできるはずです。コロナ禍で対面の商談や展示会が難しくなっている中、今後も「JOOR」のバーチャルショールームとしての機能をさらに拡充していきたいと考えています。

MAGIC STICK 原宿本店
「MAGIC STICK」原宿本店。
「JOOR」トップページ
「JOOR」のブランドトップページ。動画やビジュアルを駆使して「MAGIC STICK」ブランドの世界観を打ち出し、海外リテーラーとのつながりも急増している。