コロナ禍で進むファッション業界のデジタル化

広がる「JOOR」の活用シーン

ブルーミング中西株式会社 ホールセール事業部 東日本第2部 部長 植木鋭治氏

植木鋭治

ブルーミング中西株式会社 ホールセール事業部 東日本第2部 部長

「JOOR」の導入を契機に今後は新規のお取引先様にもアプローチしていきたい(植木)

浅沼:本日お集まりいただいている皆様はすでに「JOOR」を使われていらっしゃいますが、導入の経緯や活用のメリットなどについてもお聞かせください。

植木:「JOOR」を導入した背景には、展示会でいただいたオーダーを手作業で集計していたことによる記入漏れや入力ミスで、取引先にご迷惑をおかけしてしまったという過去の反省がありました。当初はオーダーの集計作業に活用するつもりでしたが、コロナ禍によってオンライン上でオーダーできる機能が好評となり、6月に開催した20年秋冬受注会では来場者数こそ3分の1に減少したものの、お越しいただけなかったお客様のオーダーを「JOOR」でカバーできました。これを受けて21年春夏はリアルの展示会を開催せず、主要ブランドの動画を配信した上で、「JOOR」を通じたオンライン受注、Zoomによる商談を推進する方針です。

細川:弊社では昨年12月から「JOOR」を利用していますが、それまでは全国におよそ230ある店舗の店長が、仕入れたい商品を書類に記入して発注するという作業を年に6回行っており、これらの集計やデータ入力にかかる労力や時間を削減したいというのが大きな動機でした。ファッション業界はいまだにアナログの慣習が根強いですが、現在は全店舗に配布しているiPadを活用して「JOOR」の操作を行ってもらうことで、店舗スタッフがデジタルツールに慣れる良いきっかけにもなっていますし、先にお話ししたリモート「逸品会」においても「JOOR」を活用する予定です。

渡部:弊社でもこれまでは展示会に合わせて絵型をつくり、取引先にExcelや写真などのデータをダウンロードしていただいた上で、オーダーを受けていました。これは取引先にとっても手間になることだと思いますし、集計にも大変時間がかかっていたのですが、「JOOR」には写真、サイズ、スペック、ルックブックなどがすべて掲載できるので、オーダーをする側、受ける側どちらにとっても非常に効率が良くなったと感じています。まだ導入から3カ月程度なので使いこなせていない機能も多々あると思うのですが、先に話に出た360度画像の実装などもとてもありがたいですし、今後はより有効に活用していきたいですね。

森本:「JOOR」は、アパレルブランドと小売をつなぐイメージが強いのですが、今後2年間でホーム雑貨、化粧品、香水分野を強化していく方針のため、まさに植木さんがご担当されているバラエティショップや地方の中小雑貨店など、幅広い企業に活用していただきたいです。また、伊藤忠商事のネットワークも生かし、生地のB2Bプラットフォームとして「JOOR」を活用するアイデアなども出ています。「JOOR」に登録している世界各地のブランドと生地サプライヤーとのマッチングには可能性を感じており、生地B2Bが実現した暁には、オンライン上で生地のサンプルを見ながら商談などができるメッセンジャー機能も搭載していく予定です。

ハンカチーフ専門店「CLASSICS the Small Luxury」の虎ノ門ヒルズ店
ブルーミング中西が2020年6月にオープンした、ハンカチーフ専門店「CLASSICS the Small Luxury」の虎ノ門ヒルズ店。
バイヤー向けに20年秋冬コレクション動画
コロナ禍で展示会の来場者が減少する中、バイヤー向けに20年秋冬コレクション動画を配信。