コロナ禍で進むファッション業界のデジタル化
デジタル化で高まる海外進出の可能性
浅沼:「MAGIC STICK」ブランドでは、海外への販売も伸ばしておられると聞いています。
渡部:「MAGIC STICK」にとって国内の卸先は当然大切な存在なのですが、同時にこれからの時代は海外に展開を広げていくことも非常に重要だと考えており、かねてから海外の取引先開拓にも力を入れてきました。そうした点でも「JOOR」というプラットフォームは大きな力になっていて、導入し始めてから海外からの引き合いが非常に多くなりました。また、「JOOR」に登録されている海外の小売店を国や取り扱いブランドなどで抽出し、展示会の時期に合わせておよそ300件にアタックしたことで取引先を増やすことができたように、自分たちが知らなかった海外のお店などにアプローチできることも魅力的だと感じています。
細川:弊社では先にお話ししたように、主に社内の集計用に「JOOR」を活用しているのが現状ですが、海外のリテーラーからの取引申請が「JOOR」経由でいくつか入ってきました。弊社の主な販路である百貨店が縮小傾向にある中、数年前からECにも力を入れていますが、今後は「JOOR」を活用した海外進出の可能性も検討していきたいと考えています。そのためにも、まずはこの11月のリモート「逸品会」に向けてブランドビジュアルや動画などのデジタルコンテンツを充実させ、オンラインでのブランド発信力を強化したいと考えています。
植木:もともと西洋のものだったハンカチーフは、日本の手ぬぐい文化と融合し、日本の生活様式に根付いたという経緯があります。コロナ禍では価値観も変化しており、海外でも手を洗ったらハンカチーフで手を拭くという日本のような習慣が定着するかもしれません。先ほど「MAGIC STICK」さんの事例をお聞きし、我々も会社として「人形町から世界へ」ということを掲げているように、ぜひ海外での販売にも「JOOR」を活用したいという想いを強くしました。ハンカチーフのファッション性や色、柄の美しさとともに、日本のものづくりを世界に発信していきたいと思います。
森本:皆様のお話をお伺いして、「JOOR」が単なる受発注のツールではなく、活用の仕方次第で業界のデジタル化に無限の可能性をもたらすことができると再認識しました。「JOOR」では今春、キュレーションマーケットプレイス「JOOR PASSPORT」の展開を開始し、10月に予定されている「楽天 ファッション ウィーク東京」との提携も決まっています。今後も、業界の皆様のさまざまなニーズをお伺いしながら、サービスの拡充につなげていきたいと思います。