懐かしくて新しい!? 新「レトロ」ブームの舞台裏

CASE❶ 株式会社ジュン

生活を彩るアイテムを通じて古き良き純喫茶の魅力を伝える

ファッションと食の融合を掲げるコンセプトショップとして、全国に6店舗を展開する「サロン アダム エ ロペ(SALON adam et ropé)」が、2019年3月より展開しているプロジェクト「巡る、純喫茶」が人気となっている。近隣エリアにある純喫茶の名店とのコラボレーションアイテムの販売を通じて純喫茶の魅力を発信する本プロジェクトが、純喫茶ファンからライト層まで幅広く支持されている理由を探る。

株式会社ジュン 執行役員 サロン事業部 藤原旬児氏

藤原旬児

株式会社ジュン 執行役員 サロン事業部

フードシーンから暮らしの景色を変える

「サロン アダム エ ロペ」は、「DELICIOUS FASHION」をテーマに、ファッションと充実したフードライフスタイルを提案し、暮らしの景色を変えていくことを掲げるコンセプトショップです。さまざまなフードシーンを見据えたアパレル、生活雑貨、パッケージフードを中心に取り扱っており、現在店舗を展開している東京、横浜、名古屋、大阪各エリアの地域性を意識した打ち出しを行ってきました。

2019年3月よりスタートしたプロジェクト「巡る、純喫茶」においても、サロンの店舗がある吉祥寺、新宿、大阪、名古屋エリアにお店を構える純喫茶とコラボレートすることで、各地の純喫茶に通い続けているお客様とサロンのお客様の相互利用を促しながら、古き良き純喫茶文化を広く発信していきたいという想いがありました。

純喫茶6店舗とのコラボレーション

これまでにコラボレーションを行った純喫茶は計6店舗で、各店のロゴをプリントしたエコバッグやポーチ、古き良き時代の純喫茶を彷彿とさせるマグカップやグラスなどを販売してきました。当初からものづくりだけではなく、純喫茶文化そのものを伝えていきたいという想いがあったため、各店のオーナーに取材を重ね、その話を読み物にしたWebコンテンツの配信やブックカバー形式の販促物の制作なども行っています。

今回コラボさせていただいた純喫茶は、オリジナルグッズがないケースも多かったため、お店の方や常連のお客様から大変喜んでいただけました。また、20代の女性の方を中心にSNSに投稿してくださるお客様も多く、自宅で純喫茶気分を楽しまれたり、オリジナルグッズを持って純喫茶に足を運ばれたりなど、さまざまな形でご利用いただいています。

肩肘張らない「ユルさ」が魅力

これまで純喫茶文化に馴染みがなかったお客様の中にも、「レトロ」なデザインを純粋に「かわいい」と感じられる方が多かったように思います。純喫茶には決まったロゴなどがないお店も少なくないのですが、しっかりデザインされたものにはない肩肘張らない「ユルさ」が、新鮮に受け止められているように感じます。その背景には、情報社会へのアンチテーゼ、平成から令和に移行したことで強まった歴史への関心などがあるのではないでしょうか。

「レトロ」なデザインに加えて、照明などの内装や座席のレイアウト、オーナーの人柄が相まってつくられているノスタルジックな空間は、人々に安心感を与えてくれるものであり、純喫茶を特別な「マイプレイス」にしている方や、純喫茶がある生活に憧れを抱いている方々がいらっしゃいます。コロナ禍によって自宅で過ごす時間が増える中、この企画を通じてお客様の暮らしの景色を変えるという我々の役割が改めて意義あるものに感じていますし、これからも本企画のみならず、フードライフスタイルを切り口にお客様の生活を彩るブランドとしての価値を高めていきたいと思います。

コンセプトショップ「サロン アダム エ ロぺ」東急プラザ銀座店
「DELICIOUS FASHION」をテーマに掲げるコンセプトショップ「サロン アダム エ ロぺ」の東急プラザ銀座店。
古き良き文化を発信する「巡る、純喫茶」
「巡る、純喫茶」では、サロンの店舗があるエリアの純喫茶とコラボレートして古き良き文化を発信。
純喫茶とのコラボアイテム
純喫茶とのコラボアイテムは、一部店舗とECサイトのみで販売されている。