2020年のコロナ禍に芽生えた新たな消費の可能性
CASE❶ 株式会社ココナラ
個人の「得意」で社会とつながる「スキルシェア」消費の可能性
個人間の知識や経験を売買できるオンラインサービスとして2012年にローンチし、現在ではおよそ190万人もの会員を抱えるサービスとなっている「ココナラ」。コロナ禍で加速するデジタルシフト、副業推進、空き時間活用などさまざまな文脈から注目を集めている「スキルシェア」消費の現在について、株式会社ココナラの広報担当者に取材した。

柳澤芙美氏
株式会社ココナラ 広報担当
個人のスキルを売買できるマーケット
「ココナラ」は、個人の「得意」をサービスとして出品し、ECサイトのように販売できる「スキルマーケット」です。出品者と購入者がオンライン上のやり取りですべてを完結できることが特徴です。現在、21カテゴリーに及ぶ多様なサービスが出品されており、これらはホームページや動画など納品物がある「制作系」と、キャリア相談など無形物をやり取りする「相談系」に大きく分けられます。
「ココナラ」への出品者の主な動機としては、働く場として収入が得られること、スキルアップできること、人の役に立ち、心が満たされることなどが挙げられます。一方で購入者からは、多様なサービスの中から自分のニーズに合ったものを比較検討できること、必要な時に必要な分だけ購入できることなどが支持されています。
コロナ禍でサービスの出品者が急増
2020年に入り、「ココナラ」の会員数は50万人増加し、1日当たりの出品サービス数も2019年12月と2020年9月を比較すると2.3倍以上伸長しました。この背景にあるのは、新型コロナウイルス感染拡大による生活環境の変化です。コロナ禍で最も人気を集めたのは、ホームページや動画制作、ECサイト構築などオンライン上で集客をするための「制作系」のサービスです。また、自粛期間中を中心にキャリア相談やインテリア相談など「相談系」のニーズが一時的に高まり、ゲームや楽器など趣味関連のオンラインレッスンなども伸びを見せました。
コロナ禍によってデジタルシフト、リモートワークが加速したことで空き時間が生まれ、オンラインで仕事をするハードルも大きく下がりました。また、将来への不安を感じたり、働くことの意義を見つめ直したりした人たちが、新しい収入源、やりがい、スキル向上、他者への貢献など、仕事に新たな動機を見出すようになりました。こうした流れの中で自分のスキルを提供しようとする人たちが増え、登録料なしで手軽に出品できる「ココナラ」がその受け皿になれたのではないかと感じています。一方、購入者もオンラインでスキルを買うことに慣れてきたので、良い循環が生まれています。
「スキルシェア」のチャネルを増やす
デジタルシフトや副業の推進、個人間取引の普及など徐々に進んでいた社会の変化は、2020年に一気に加速しました。また、人口減少が進む日本ではデザイナーやエンジニアといった特定の技能を持つ人材がますます希少となり、企業などの法人が個人のスキルを買うハードルも徐々に下がってきています。
このように、今後「スキルマーケット」の拡大が不可逆な流れにある中で、「ココナラ」では先日、漫画や動画、音楽などコンテンツの売買ができるブログ機能を新たに搭載しました。また、対面サービスを提供する「ココナラミーツ」なども強化し、個人のスキルを売買できるチャネルを充実させていくことで、あらゆる人たちがそれぞれの動機で活用できる「スキルマーケット」をつくっていきたいと考えています。

