2021年、新たなチャレンジへ

INTERVIEW ❶

強みを生かして5つの分野に磨きをかける

伊藤忠商事株式会社 常務執行役員 繊維カンパニー エグゼクティブ バイス プレジデント(兼)ファッションアパレル部門長 清水源也

清水源也

伊藤忠商事株式会社 常務執行役員 繊維カンパニー エグゼクティブ バイス プレジデント(兼)ファッションアパレル部門長

コロナ禍で得たもの

新型コロナウイルスの感染拡大は非常に衝撃的で、私自身、これほど海外出張ができなかったのは入社以来初めてです。私たちはサプライチェーンをグローバルに展開しているため、ビジネスへの打撃も大きく、改めて「稼ぐ・削る・防ぐ」の「削る」を徹底するなどの対策を講じました。

しかしながら、コロナ禍で得たものも多くありました。その一つが医療や衛生分野です。特にアイソレーションガウンは、伊藤忠モードパルが国内縫製スペースを活用して生産し、コロナ需要を取り込むことで「三方よし」の取り組みができました。また、2018年度より、環境配慮型素材を中心とする原料起点のバリューチェーンの構築に取り組んできましたが、このコロナ禍でサステナビリティへの関心が高まっています。米ライクラ社との環境素材の開発や再生繊維プロジェクト「レニュー(RENU)」に加え、コロナ禍で遅れていたフィンランドのメッツァ・グループとのセルロース繊維のパイロット工場も間もなく稼働します。原料からのサプライチェーンをグローバルに持つ優位性が、今後、花開くと考えています。

既存分野での新たなチャレンジ

H&Mのチュールワンピースと、ファミリーマートの「コンビニエンスウェア」
100%「レニュー」素材でつくられたH&Mのチュールワンピース(左)と、ファミリーマートで展開する「コンビニエンスウェア」(右)。

当部門は、これまでも「スポーツ」、「ユニフォーム」、「インナー」、「ジーンズ」、「シャツ」の5つの分野に注力してきました。伊藤忠プロミネントアジアやベトナムのビナテックスなどの海外生産プラットフォームに加え、伊藤忠モードパル、エドウイン、三景、デサント、ユニコ、ロイネなどの国内事業会社に販売網や生産網を有することが当社の強みです。この強みを生かし、各分野で磨きをかけていきたいと考えています。

中でも、現在「マーケット・イン」のビジネスモデルを構築中なのが「インナー」です。すでに一部のファミリーマートで「コンビニエンスウェア」の展開を始めました。環境素材や機能素材を採用するなど、原料からパッケージデザインにまでこだわり、ストーリー性のある商品としてブランディング中です。また、「スポーツ」においても、デサントの企画力、中国の安踏体育用品の販売網で、「デサント」ブランドの中国国内での販売が伸長しています。今後も、2022年の冬季北京五輪を見据え、デサントを核に、スポーツビジネスを強化していく考えです。