2021年、新たなチャレンジへ

INTERVIEW ❸

グループの知見を生かしてビジネスを進化

伊藤忠商事株式会社 准執行役員 繊維経営企画部長(兼)ブランドマーケティング第二部門長代行 橋本徳也

橋本徳也

伊藤忠商事株式会社 准執行役員 繊維経営企画部長(兼)ブランドマーケティング第二部門長代行

供給側の責任を実感

ブランドマーケティング第二部門は、ブランドマーケティング第三部と繊維資材・ライフスタイル部の2部構成となっています。ブランドマーケティング分野においては、コロナ禍でさまざまな課題が加速度的に顕在化した1年でした。この状況を来期以降に向けての契機と捉え、業態を大きく変革していきます。一方、非衣料分野全般を扱う繊維資材・ライフスタイル分野は、衛材関連やワイピングクロス用不織布など、コロナ禍ならではの需要が急増しました。市場にそれらの商材が不足した時期もあり、数量や生産スペースの確保、価格の維持など、改めて供給側の責任を強く感じた1年でもありました。

繊維デジタル戦略室で情報の共有化

B2Bのマーケットプレイス「JOOR」
B2Bのマーケットプレイス「JOOR」がコロナ禍で注目を集めた。
レリアンによるライブコマース
レリアンによるライブコマース。

ブランドマーケティング分野は、コロナ禍を機に新たな戦略を構築する必要があります。そのため、昨年7月にプレジデント直轄組織として繊維デジタル戦略室を新設し、当社はもちろん、各事業会社の知識や経験を共有し、デジタル化を加速させる取り組みをスタートさせました。伊藤忠グループには、物流や決済業務に強い事業会社があるため、それを強みによりきめ細かな対応ができるようにするのが急務です。スタートしてまだ半年ですが、各事業会社がオープンに話し合う中で来期には突破口も見えてくるはずです。

例えば、レリアンではリアル店舗で培ったトークや提案力を生かしたライブコマースを試み、お客様の反応も上々です。こうした試みの積み重ねにより、新しい販売の形が生まれ、繊維デジタル戦略室にもそのノウハウが蓄積されて、他の事業会社にも応用が可能となります。

繊維資材・ライフスタイル分野では、世界10カ国に約20名の駐在員を派遣しており、グローバルネットワークを構築しています。世界という視点で見ると、人口の増加が継続し、高齢化も進む中、日本で培った衛材分野のマーケティング力をグローバルに拡大していく絶好の機会でもあります。同時に、EV化が進む自動車関連資材の商圏拡大にも注力していきます。コロナ禍で痛感した安定的にモノをつくる重要性と責任を胸に、地政学的リスクや為替リスクにも対応しながらビジネスを強化していく考えです。