若い消費者の心をくすぐる「韓流」の秘密

― 座談会 ―

韓国発ファッション・コスメはブームを超えて定着へ

株式会社アイスタイル @cosme リサーチプランナー 西原羽衣子氏

西原羽衣子

株式会社アイスタイル @cosme リサーチプランナー

世界観を表現することに長け使用イメージを消費者に想起させることが上手ですね (西原)

「@cosme SHOPPING」の「K-Beauty」サイト
「@cosme SHOPPING」の「K-Beauty」サイト。人気アイテムのクチコミや売れ筋ランキングから商品が検索できる。

小原:まずは、日本のファッション・ビューティ市場における韓流人気の傾向についてお聞かせいただけますか。

齋藤:「WEAR」の投稿に付けられるハッシュタグを見てみると、2018年くらいから「韓国ファッション」が急上昇ワードに入ってくるケースが増えています。このタグが付けられた投稿はすでにおよそ10万件に及び、特にこの1年は増加傾向が強くなりました。一緒に付けられているタグとしては、「スキニーデニム」、「バケットハット」、「スウェット」、「フレアパンツ」などストリート系のアイテムが多くなっています。

原田:もともと「@cosme」は、韓国コスメはあまり強くなかったのですが、2、3年ほど前から韓国ブランドの商品登録に力を入れ始め、その頃から年間の「@cosmeベストコスメアワード」に韓国の商品がランクインするようになりました。特に2020年はその勢いが強く、新型コロナウイルスの影響が広がる中で韓国コスメを選ぶお客様がますます増えているように感じます。例えば、マスクをしてもメイクが崩れないフェイスパウダーなど、機能や効能面が支持されるケースが多く見られました。

西原:「オルチャンメイク」(韓国語で美少女を意味するオルチャンのようなメイク)などに代表されるように、昨今の韓国コスメ人気は、韓国の人たちの肌の綺麗さや韓国アイドルのようなメイクアップを目指すというところがベースにあると思いますが、「@cosme」はサイトの特性上、商品の機能について語られることが多くなっています。「リップティント」や「クッションファンデ」など韓国発のコスメでは、「落ちない」、「保湿」などのワードの出現率が高く、機能性が高く評価されていることがわかります。

原田:一時期、10~20代を中心に「韓国人になりたい」というハッシュタグを付けたSNSの投稿がブームになりました。ここには、韓国のアイドルやカルチャーへの憧れがあると思いますが、最近の韓国コスメに関しては、「韓国」ということをとりわけ意識せず、機能性から選んだ商品が結果として韓国製だったというケースが増えているように思います。その最たる例が、先ほども話したマスクメイク関連の商品です。最近では、肌の鎮静や再生機能があるスキンケアアイテム「シカクリーム」が注目されていて、東京・原宿にある「@cosme TOKYO」では、2020年4月の緊急事態宣言後に売上が月平均14倍となりました。これまで一部のファンに支持されていたものが、コロナ禍でマスクなどによる肌の悩みを抱える多くの人たちに浸透したといえそうです。

齋藤:韓国ファッションもコスメ同様に定着しているように思います。特に若者たちのストリート系の着こなしとして、韓国ファッションのテイストやアイテムを取り入れることが一つのスタイルになっています。一方で、韓国のブランドに関してはまだあまり知られていないのが現状ですが、昨年、東京・渋谷に初上陸した韓国発のセレクトショップ「ALAND(エーランド)」などが今後発信を強化していくことによって、徐々に認知度が高まっていくのではないかと思っています。

「@cosme SHOPPING」の「K-Beauty」サイト
「@cosme SHOPPING」の「K-Beauty」サイト。人気アイテムのクチコミや売れ筋ランキングから商品が検索できる。