若い消費者の心をくすぐる「韓流」の秘密

― 座談会 ―

若い世代の心に響くビジュアル重視の世界観づくり

株式会社アイスタイル @cosme リサーチプランナー 原田彩子氏

原田彩子

株式会社アイスタイル @cosme リサーチプランナー

商品開発やリリースのスピード感が市場の牽引にもつながっていると感じます (原田)

小原:韓国発のファッションやコスメが日本の消費者を惹きつけている理由は、どんなところにあるとお考えですか。

西原:韓国コスメの特徴の一つとして、新規性というものが挙げられます。商品としての形状など見た目が新しいことに加え、「クッションファンデ」や「シカクリーム」のように、これまでにない効能をもたらしてくれるのではないかという期待感を上手くつくり出しています。こうした新規性で消費者を惹きつけ、実際に使ってみると機能性もしっかりと担保されているというのが、韓国コスメの人気を支えている大きな理由になっています。例えば、昨年は「リップティント」がマスクにつかないことや、「シカクリーム」がマスクによって荒れた肌を再生してくれるということが話題になったのですが、コロナ禍によって生まれた消費者のニーズや悩みにしっかり応えるだけの機能が、これらの商品にはあらかじめ備わっていたということだと思います。

齋藤:私自身も韓国のコスメは大好きで、「the SAEM(ザセム)」という韓国ブランドのコンシーラーなどをよく使っていたのですが、これを母親にも勧めてみたところ、すっかり気に入ってしまい、それ以来愛用しているようです。母親も韓国ブランドだということを理由に使っているわけではなく、クマやシミをカバーしてくれるという機能面に満足しているのだと思います。

西原:もう一つ韓国コスメ人気に関して大きかったのは、K-POPなどのカルチャーとセットで入ってきたことです。これによって日本の消費者が商品のアウトプットをイメージしやすくなりました。また、これはもともと日本のブランドが大切にしてきた部分でもあると思うのですが、韓国のブランドはお店などを通じて世界観を表現することに長けています。自分の生活の中にこのブランドや商品が入ってきたらどうなるのかということを、消費者に想起させることが非常に上手だと感じます。

齋藤:ECサイトなどを見ても、韓国のファッションブランドは自分たちの世界観を表現した画像を多く載せていて、ブランドのルックブックを見ているような感覚になるものが多いことが特徴です。自分が欲しいものをアイテム名などで検索することよりも、SNSなどを通じてビジュアル的に興味を惹かれるものを消費する傾向が強い若い世代の価値観と、韓国のファッションやビューティのマーケティングがマッチしているのだと思います。また、インスタグラムをはじめとしたSNS上には、K-POPアイドルたちの着こなしやメイクの写真が、公式、非公式問わず、数多くアップされているのですが、彼・彼女たちのファンには、自分もその人になりたいという欲求を持っている方が少なくないため、こうした投稿も消費行動に大きな影響を与えているはずです。

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