急伸するメンズビューティ市場

CASE❷ 株式会社レスプリ

メイクに対する抵抗感を払拭し男性の美意識をポジティブに後押しする

全国に22店舗を展開し、10代後半から20代前半の男性を中心に年間およそ30万人が来店するメンズヘアサロン LIPPS(リップス)。同店の知識や技術を活かして開発された「LIPPS BOY(リップスボーイ)」は、コロナ禍でコスメ市場が厳しい状況にある中で、堅調に売上を伸ばしているメンズコスメブランドだ。同ブランドの開発背景などについて、企画開発を担う株式会社レスプリを取材した。

株式会社レスプリ 取締役 商品事業部長 兼 営業部長 長島幹孟氏

長島幹孟

株式会社レスプリ 取締役 商品事業部長 兼 営業部長

顔や肌をスタイリングするブランド

当社は以前からヘアサロン運営で培ってきた知識や技術を生かし、シャンプーやスタイリング剤などのヘアケア製品を展開していましたが、近年の男性の美容意識の高まりを受け、2019年に新ブランドとして「LIPPS BOY」を立ち上げました。「LIPPS BOY」では、髪と同じように「顔や肌をスタイリングする」ことを掲げ、立ち上げ当初から、ヘアスタイリング剤のように「使うことでガラリと雰囲気が変わる」ファンデーション、BBクリーム、リップクリームなどのメイク商品を主軸に展開してきました。

メンズコスメには、シミやクマを隠すなどネガティブな面をカバーするものが少なくありませんが、「LIPPS BOY」ではカッコ良さや美しさをポジティブに引き出していくことを目指しており、18歳から24歳をメインターゲットに商品開発やプロモーションを行っています。

男性のニーズに寄り添うプロダクト

商品開発においては、サロンスタッフの意見を取り入れながら美容師ならではのセンスやこだわりを反映させるとともに、若い男性の美容に対する意識やニーズに寄り添うことを心がけました。開発をスタートした当時は、ジェンダーレスという考え方がまだ浸透しておらず、男性が化粧をしていることを表立って言いにくい状況がありました。その中で、現在の売れ筋商品となっているリップクリームにおいては、つけていることが強調され過ぎないように発色や艶を適度に抑え、ファンデーションに関してもパフの色をグレーにしたり、ケースを男性らしい直線的な形状にするなど、使用することへの抵抗感を払拭することを意識しました。また、パッケージにもこだわり、透明感や清潔感があり、持ち運びやすいデザインを意識しています。

こうした商品をサロンでの接客やSNSを通じて伝えていくことで、男性がメイクすることを当たり前だと感じていただけるようにすることが自分たちの役割だと考えています。

メンズ専用アイブロウサロンもオープン

2020年12月には、LIPPS Ray GINZA(リップスレイギンザ)店内にメンズ専門のアイブロウサロンをオープンさせました。男性のメイクに対する不安を取り除くことを大きな課題だと捉えている当社では、この場所をメンズビューティーのフラッグシップショップと位置付け、メンズコスメやメイクに関するさまざまな体験を提供していきたいと考えています。また、肌のトーンアップや日焼け止め機能を持つ無色のフェイスクリームなど、メイクへのハードルを下げる新商品のリリースも予定しています。

「Boys Be Beautiful!」を掲げる当社は、お客様にいつまでも少年のように輝き続けてほしいという想いを持っています。ヘアケアやメイクにとどまらず、アパレルをはじめさまざまな領域のパートナーと協働し、男性のカッコ良さや美しさを引き出していく幅広いサービスやプロダクトを展開していくことが今後の目標です。

LIPPS BOY(リップスボーイ)の商品ラインナップ
パッケージデザインにもこだわった商品ラインナップ。
 メンズ専門のアイブロウサロンをLIPPS Ray GINZA店内にオープン
眉をスタイリングするメンズ専門のアイブロウサロンをLIPPS Ray GINZA店内にオープン。