急伸するメンズビューティ市場

CASE❸ 株式会社ロフト

積極的な情報発信を通じてメンズコスメを文化として定着させる

多彩な生活雑貨を取り扱い、全国に100を超える直営店舗を展開する株式会社ロフトが、2019年よりメンズコスメの販売を強化している。全国の店舗での売場拡大はもちろん、メンズコスメの祭典「コスメフェスティバル for MEN」を年に2回開催。盛り上がりを見せるメンズコスメのシーンを自社メディアなどを通して対外的に発信し、市場の醸成に大きな役割を果たしている同社を取材した。

株式会社ロフト 商品部 健康雑貨部 企画担当 田中 勇氏/メンズコスメ・バイヤー 廣末将太氏

株式会社ロフト

商品部 健康雑貨部 企画担当
田中 勇
メンズコスメ・バイヤー
廣末将太

高い伸長率を見せるメンズコスメ

当社がメンズコスメに注力するようになったきっかけは、2017年にオープンした銀座ロフトでした。オープン時より大きく展開したメンズコスメ売場が好調だったため、2019年のリニューアル時には売場をさらに拡大し、全国の店舗にもメンズコスメのコーナーを設置しました。ロフトでは以前より美容室が開発するヘアスタイリング剤などに固定のお客様がついていたため、これらの売場に併設させる形で、男性でも入りやすいコスメコーナーをつくることを心がけました。

同年には、「コスメフェスティバル for MEN」という企画もスタートさせ、全国の店舗でキャンペーンを展開するとともに、メディアやインフルエンサーとのコラボレーションを通じて積極的に情報を発信するようになりました。こうした取り組みが奏功し、メンズコスメの売上は年々高まり、規模としてはまだ小さいものの伸長率や注目度が非常に高いカテゴリーになっています。

独自の品揃えで他店と差別化

現在ロフトでは、ドラッグストアなどを中心に展開されているマス向けの商品と、百貨店などで販売されるハイエンド商品の間に位置するメンズコスメの展開を強化しています。また、他店には置かれていない商品を積極的に扱い、さらに各ブランドの新製品の先行販売を行うなど、ロフトに行けば新しいものが見つかるという期待感を抱いていただけるような品揃えにすることを心がけています。

商品の売れ筋は出店エリアの特性によっても異なりますが、全国共通で人気が高いのは洗顔料で、最近は化粧水や乳液なども人気です。スキンケアのトライアルセットや、化粧水、乳液の機能を兼ね備えたオールインワンジェルなども各メーカーからリリースされており、非常に好評です。また、オンライン会議で自分の顔色が気になるビジネスマンなどの間でBBクリームの人気が高まっており、最近では除毛クリームを使われる男性も増えています。

今後の課題は潜在層への訴求

当社は「ロフトアプリ」という自社メディアを通じてメンズコスメの情報を発信していますが、こうしたメディアやSNSから情報を収集した上で来店し、テスターを使われてから商品を購入されるお客様が多くいらっしゃいます。また、年に2回行っている「コスメフェスティバル for MEN」では、メディアやインフルエンサーの方をお招きしたり、会場の様子をインスタライブで配信するなどさまざまな形で情報を発信しており、リアルとデジタルを融合させた顧客体験価値をつくっていくことを意識しています。

年々注目度が高まっているメンズコスメですが、実際に利用されている男性は一部に過ぎず、認知度をさらに高め、潜在層を掘り起こしていくことが今後の課題です。この盛り上がりを一過性のブームに終わらせず、メディアやメーカーとも連携を図りながら、メンズコスメを文化として根付かせていきたいと考えています。

「ロフトアプリ」
「ロフトアプリ」はメンズコスメの情報収集の場にもなっている。
「コスメフェスティバル for MEN」
2021年4月に開催された「コスメフェスティバル for MEN」。