Managemant Eye

笑顔の連鎖でハピネスをお届けする

「キャストの満足度がゲストの満足度を導く」

株式会社オリエンタルランド 取締役 副社長執行役員 片山雄一氏
株式会社オリエンタルランド 取締役 副社長執行役員
片山雄一

この企画はリレー形式で展開していますが、前回の日本ユニシス株式会社 代表取締役 専務執行役員 CMO・CSO・CCOの齊藤 昇氏からのバトンとなりました。

日本ユニシス様には当社のオフィシャルスポンサーになっていただいているご縁もあり、ユーザー会であるユニシス研究会に参加し、現在、私が会長を務めております。齊藤さんはネットワークが豊富で、視野も広く、バランス感覚に優れた方。しかも気さくな人柄で、自然に人を惹き付ける魅力をお持ちです。齊藤さんとの交流や研究会を通じて、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)など、いろいろな事業活動のご教示をいただいています。

コロナ禍で、エンターテインメント業界は厳しい状況が強いられています。

当社の主力事業である東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの2つのテーマパークは、これまで合計で年間3,000万人を超えるゲストをお迎えしてきましたが、4カ月間の閉園や、入場制限などにより、2020年度の入園者数は約756万人にとどまりました。しかしながら、苦しいときこそ変革のチャンスと捉え、新たな施策の検証やコスト削減などを進めています。例えば、入園者数を制限するためのWEB事前予約は入園者数の平準化に寄与しますし、列に並ぶ時間を短縮するスマートフォンアプリの機能強化は、以前より議論を重ねてきたデジタル施策をスピード感を持って実現できたものです。その他にも、指定時間に列に並べる「スタンバイパス」の対象アトラクションの拡張、抽選で希望の施設が利用できる「エントリー受付」の導入など、ゲストが列に並ばず安全に、計画的にパークをお楽しみいただける仕組みの拡充を図っています。

それらはゲストへの「ハピネスの提供」という企業価値の創造が目的ですね。

当社で働く従業員は、社員と準社員との区別なく、すべてキャストと呼んでいます。キャストには施設運営については徹底的に研修を行いますが、接遇にはマニュアルがありません。Safety(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficiency(効率)という4つの行動基準と優先順位をベースに、一人ひとりが考え、理解し、行動するという文化が根付いており、キャストが高いプロ意識を持って働ける施策や環境づくりを実施しています。上司が素晴らしい行動をしたキャストに手渡す「ファイブスターカード」、アイデアを気軽に提案できる「I have アイデア」などは、モチベーションを高めるための施策です。パーク内では清掃の様子も見て楽しめる工夫をしていますが、これもキャストのアイデアが発端になりました。キャストの自主性を重んじ、その満足度を高めることがゲストへのホスピタリティとなり、ハピネスの提供へとつながっていく。笑顔で接すると笑顔が返ってくるという笑顔の連鎖こそ、ハピネスの源泉なのです。

また、企業や団体の皆様に東京ディズニーリゾートのおもてなしの考え方やメソッドをお伝えする「ディズニーアカデミー」も開催しています。

現在、東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクトが進んでいます。

これからの成長へとつなげていくために、約2,500億円を投じて行っているのが東京ディズニーシーの大規模拡張です。2019年5月に着工し、コロナ禍ながら工事は順調に進んでいます。これからも、東京ディズニーリゾートはゲストの体験価値の向上とともに、ゲストとキャストによる笑顔の連鎖をつくり、より多くのハピネスをお届けしていきますので、ご期待ください。

東京ディズニーリゾート・アプリ
東京ディズニーリゾート・アプリでは、デジタルガイドマップ、ディズニーeチケットの購入、エントリー受付、スタンバイパスの発行などを1つのスマートフォン用アプリに集約し、パーク体験をより快適にしている。
新テーマポート「ファンタジースプリングス」
2023年度のオープンを目指す東京ディズニーシーの大規模拡張プロジェクトでは、新テーマポート「ファンタジースプリングス」が誕生。14万㎡(バックステージ含む)に3つのテーマエリアを設定し、4つのアトラクションを展開。ホテルも併設される。