若者世代を中心に広がる「オタク」消費の現在
[対談]長田麻衣氏 × 小原直花氏 Z世代に見る「ヲタ活」「推し活」の消費動向 ②
変化する「オタク」のイメージ
小原:時間の話が出ましたが、昨今は世代を問わず自分が好きなものやこだわりに時間やお金を費やす傾向が高まっており、いわば「1億総オタク化」のような状況が起こりつつあります。特に若者の間では「ヲタ活」という言葉も使われるようになっていて、かつてのネガティブな「オタク」のイメージは変わっているように感じています。
長田:そうですね。若い世代は、「K-POPヲタ」や「アイドルヲタ」をはじめ、「ヲタ」であることを自称する人が多いのが特徴です。漫画やアニメなどにしても、私が学生の頃は「好き」と表立って言いにくい雰囲気がありましたが、Z世代には「漫画・アニメ好き」であることが恥ずかしいという感覚はないですし、漫画もオシャレも両方大好きだという人も少なくありません。
小原:多様性を当たり前に受け止めている若い世代ほど、自分が好きなものを掘り下げる、他人のこだわりを受容する傾向が強いのだと思います。若者の「ヲタ活」には、どんなものが多いのですか。
長田:やはり、ジャニーズやK-POPをはじめとしたアイドルやミュージシャンですね。「推し活」という言葉に象徴されるように、「誰かを応援したい」という気持ちが強いのだと思います。幼少期から「アイドル総選挙」などを見て育ってきた世代なので、誰かが成長してスターになっていく過程を応援することに価値を感じ、そこに投資をしたいという思いがあるようです。
小原:情報過多で変化も激しい時代というのは、拠り所になるものがないと不安に苛まれてしまうところがあります。だからこそ、自分が好きなものやこだわりについて発信することができ、その受け皿もしっかりある状況というのは、不安定な時代を生きていく上での安心材料になるのではないかと思います。
長田:さまざまな立場や意見の人たちがいる中で、「絶対的にこれが正しい」というものがなくなり、下手をすると自分の発言が炎上を招いてしまうような時代において、全方位的に善い人でいることは難しく、どうしても不安になってしまう。その中で、自分らしさを表現するツールとして「推し」があり、誰かを応援しているという「ヲタ活」、「推し活」をしていることが、その人の「アイデンティティ」になっているところがあるのではないでしょうか。
