変わる「時間」の概念新たな体験価値の提供へ

CASE② 株式会社タイミー

「今できること」の選択肢を広げ一人ひとりに価値ある時間を提供する

すぐ働きたい人と、すぐ人手が欲しい事業者をマッチングするサービスとして、2018年にスタートした「タイミー」。単発や短期の仕事を受け持つ「ギグワーカー」が新しい働き方として注目され、企業側の副業推進の流れも加速する中で支持を広げてきた。昨今のコロナ禍においても、「スキマ時間」を価値あるものに変えることを目指して事業の成長を図る同社の小川 嶺代表取締役に話を聞いた。

株式会社タイミー 代表取締役 小川 嶺氏

株式会社タイミー

代表取締役
小川 嶺

「スキマ時間」にすぐ働けるサービス

18歳の頃、尊敬していた祖父の最期に立ち会えなかったことが大きなきっかけとなり、起業を志すようになりました。それ以来、「時間は有限である」という思いを強く持ち、大学時代には、ファッション領域での起業も果たしました。その後、事業を畳み、単発のアルバイトを繰り返していた時期に、手続きの煩雑さなどの課題に直面した経験から、空いた時間にできる仕事を検索でき、応募から給与の受け取りまでをスマートフォンで完結できるスキマバイトサービスとして、「タイミー」を立ち上げました。

現在「タイミー」は、飲食や物流、小売、アパレル、ホテル、介護など幅広い領域の企業約18,000社に導入していただいています。登録ユーザー数はおよそ190万人に上り、昨今の副業解禁などの潮流を受け、学生からパート・アルバイト、正社員まで、年齡を問わず幅広い層の方たちにご利用いただけるようになりました。

仕事に「体験」を求めるユーザー

日本において、「スキマ時間」に働く人たちは、金銭的価値よりも体験価値を求める傾向があります。私は、「タイミー」のことを「大人版キッザニア」と呼んでいるのですが、さまざまな業界・業種の仕事が体験できることに価値を感じているユーザーは少なくありません。例えば、好きなアパレルショップで働くことで、それまで知らなかったブランドのこだわりなどに触れることができたり、人気の飲食店のまかないが食べられるということも一つの体験といえます。

「タイミ-」は、こうした時間の体験をユーザーに提供するプラットフォームであるとともに、企業側の正社員の残業時間を減らしたり、離職率を下げることにも貢献したいと考えています。そのため、正社員が取り組むべき業務と、「タイミー」側で請け負える業務の仕分け方などのアドバイスも行っています。

コロナ禍で高まる「時間」の価値

コロナ禍によって、飲食やアパレルなどの店舗で働くことが難しくなる一方、EC業務が増大したことから、主に物流分野への労働力の移動をサポートするため、倉庫やデリバリーに関するオンラインセミナーや研修会なども開催しています。また、これまで一つだった営業部を、物流や飲食、小売などの業種ごとに分け、各業界のニーズや課題に寄り添える体制に刷新しました。

一方、生活者においては、リモートワークなどによって生まれた余剰時間を、いかに価値あるものにするのかという意識が世代を問わず高まっています。「今、この時間にすること」をより多くの選択肢からチョイスできる状況が、一人ひとりの時間の価値を高めることにもつながるため、将来的には、仕事だけに限らず、習い事やボランティアなど、時間を有効活用するための選択肢を幅広く提案できるサービスにしていきたいと考えています。

さまざまな業種で「タイミー」の導入が進んでいる
伊藤忠商事グループでも、ファミリーマートをはじめさまざまな業種で「タイミー」の導入が進んでいる。
スキマバイトサービス「タイミー」
スキマバイトサービス「タイミー」。「働く」を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくることを目指している。