令和時代のコラボレーション最前線
【INTERVIEW】カルビー株式会社/株式会社ロッテ
製菓業界を牽引する2社が挑むお菓子の未来を創造するプロジェクト
製菓業界を牽引するカルビー株式会社と株式会社ロッテが、お菓子本来の楽しさを追求し、未来を創造することを掲げて2020年4月に設立した「おかしな研究所」。チョコレートやガムなどのカテゴリーに強みを持つロッテと、スナックやシリアル領域で高いシェアを持つカルビーが、お互いの技術や知見を掛け合わせて新たな価値を創造しようとする試みは、市場や業界に大きなインパクトを与えている。すでに第4弾まで商品がリリースされ、今夏にも新商品の販売を控える両社を取材した。

御澤健一氏
カルビー株式会社 マーケティング本部 商品1部 部長

福田貴司氏
株式会社ロッテ ブランド戦略部 チョコレート企画課 課長

御澤健一氏
カルビー株式会社 マーケティング本部 商品1部 部長

福田貴司氏
株式会社ロッテ ブランド戦略部 チョコレート企画課 課長
──どのような経緯で「おかしな研究所」は設立されたのでしょうか。
株式会社ロッテ ブランド戦略部 チョコレート企画課 課長 福田貴司氏(以下、福田):これまでにカルビーさんとは看板商品同士のコラボレーションをしたことがありましたが、共通のコンセプトのもとで企業同士が協業するような取り組みには至っていませんでした。そんなある時、両社の経営層が参加したセミナーの場で、しっかり手を組んだ取り組みができないかという話が持ち上がり、そこからお互いの若手社員によるワークショップを重ねる中で、お菓子の未来を共に考えていくプロジェクトとして、「おかしな研究所」を設立することになりました。
カルビー株式会社 マーケティング本部 商品1部 部長 御澤健一氏(以下、御澤):今回の協業においては、同じ業界の中でも得意領域が異なっていたことがポイントでした。また、影響力を持つ2社が組むことによるインパクトについても意識していました。近年の業界では安定した売上が期待できる商品が多くつくられ、私たちが子どもの頃に触れてきたような遊び心あふれるお菓子が少なくなっているのではないかという両社の議論から、お菓子本来の楽しさやドキドキ、ワクワクを伝えることが研究所のコンセプトになりました。
──共同開発のプロセスや協業によって得られたことを教えていただけますか。
福田:それぞれに異なる開発フローや考え方がある中で、第三者であるファシリテーターを招いたワークショップを開催したり、お互いの役割や開発の期日を明確に設定するなど、コラボレーションを円滑に進めるための工夫を重ねました。協業を通じてカルビーさんからは、お客様とのコミュニケーションの考え方から自由な働き方に至るまで多くを学んでいます。また、今回の取り組みによってかつて当社の商品のファンだった方に再びお買い上げいただくこともできました。
御澤:両社の強みを単純に掛け合わせることが必ずしも新たな価値につながるわけではなく、試作段階ではマッチングの難しさを何度も痛感しました。一方で、ロッテさんとさまざまな情報を交換していくことが刺激になっていて、例えば、ロッテさんのあらゆるシーンを想定した多様な包装や容器の展開なども大きな気づきになりました。このプロジェクトにおける組み合わせの面白さには特に若い世代が反応してくださっており、若年層の取り込みにもつながっています。
──今後の展望を聞かせください。
福田:お菓子は、商品名とメーカー名がひも付きにくい側面があるのですが、今回は両社のコラボレーションを通じてメーカーの存在を強く打ち出すことができましたし、当社の本気度も伝えられたのではないかと思います。当社は協業において、「話題性」、「親和性」、「意外性」、「新奇性」の4つを大切にしているのですが、お客様の反応を見ても今回はこれらを満たすことができていると感じています。今後もお互いに刺激を与え合いながら、お客様に驚きや幸せを提供していきたいですね。
御澤:「食」が多様化する中、スナック一辺倒では成長はないという思いがありました。この取り組みでは、同じ領域にいる両社の技術を組み合わせていくことでイノベーションを生み出していきたいと考えていますし、ロッテさんとは非常に良い距離感で協業できていると感じています。今後は、それぞれの技術をより深いレベルで融合させた新商品の開発に加え、マーケティングやプロモーションなどにおいてもお互いに学び合いながら、さまざまな局面で両社の力を掛け合わせていきたいと思います。

