自然回帰のライフスタイルとワークスタイル

CASE❷ 株式会社アールシーコア

自然とともにある暮らしを提案し経済合理性に偏重した社会にバランスをもたらす

ログハウスなど自然材をふんだんに使った個性的な木の家を提供する住宅ブランドとして、機能的・合理的に「住む」ことよりも、感性や自然を重視して「楽しむ」暮らしを提案してきた「BESS(ベス)」。近年は、自然の近くでのびのびと暮らす「梺(ふもと)ぐらし」という新しい暮らし方を提唱し、共感者を増やしている同社に、大切にしてきた暮らしの価値観やコロナ禍における消費者の変化などを聞いた。

株式会社アールシーコア 社長室 広報企画 リーダー 木村 伸氏

木村 伸

株式会社アールシーコア 社長室 広報企画 リーダー

「感性」を重視したログハウス事業

当社が創業した1985年当時は、「技術」から「情報」の時代になると言われていましたが、代表取締役社長の二木浩三はその次に訪れるであろう「意識の時代」を見据え、人それぞれの感性=「好き嫌い」を大事にする「感性マーケティング」を掲げて事業をスタートしました。そして、知人から別荘地のログハウスづくりを頼まれたことを機に、機能性一辺倒だった住宅の分野における新しいマーケットづくりの可能性を見出し、ログハウス事業を始めました。

ログハウスを別荘の非日常ではなく、自宅の日常に取り入れることを提案してきた「BESS」の家は9割以上が自宅使用となっており、ログハウスにおけるトップシェアを獲得しています。現在、全国40カ所に展開する単独展示場「LOGWAY(ログウェイ)」などを通じて、大切にしている価値観や暮らしの在り方を発信してきた「BESS」は、お陰様で年々売上を伸ばしています。

自然の近くで暮らす「梺ぐらし」の提案

「BESS」では、住宅街にログハウスを建てる取り組みを推進した時期もありましたが、「外とつながる暮らし」が特徴である「BESS」の家は自然豊かな環境との相性が良く、そうした場所を選択されるお客様が増えてきました。それを受け、2017年より「梺ぐらし」という提案を始め、自然と共にあるお客様の暮らしを応援する方向に舵を切りました。

合理性や機能性が追求されがちな現代社会において、私たちは家を暮らしのための「道具」と位置づけ、自然や感性を重視するのびのびとした暮らしの提案をしてきました。この価値観に共感してくださったユーザーの多くが、Instagramに「#bessの家」というハッシュタグをつけた投稿をされており、さらに有志による集まりやユーザー同士のキャンプなども行われています。「BESS」の暮らしの伝道師として、自然派暮らしの楽しさやノウハウをボランティアで伝える「LOGWAYコーチャー」も全国に1,700組以上がおり、今やユーザーの暮らしそのものがブランドの大きな価値となっています。

コロナ禍で変わる暮らしの価値観

リモートワークの普及などにより、自宅環境の見直しや自然豊かな環境への移住・移動への関心が高まり、「BESS」の家での暮らしを実現できると考える人たちが増えています。こうした状況の中で当社としては、「BESS」の家によって暮らしの価値観を変える「クラシガエ」の提案や、走るログ小屋「IMAGO(イマーゴ)」など新商品の発売などを通じて、より広い層に「BESS」の価値観を知っていただく機会をつくっています。また、地方自治体などとも連携し、地方の豊かな自然環境・形状を生かした新たな用地開発も目指していきます。

さらにこれからは、4月にリニューアルした東京・代官山の本店「BESS MAGMA(ベスマグマ)」を発信拠点とし、さまざまな大学や企業とも協働しながら、感性や文化を重視する価値観を発信し、経済的な合理性・効率性に偏重した現代社会にバランスをもたらすことを目指していきます。

「BESS」の家
住む」より「楽しむ」ための「BESS」の家。
「LOGWAYコーチャー」
展示場では「LOGWAYコーチャー」が「BESS」暮らしの情報を伝える。
「梺ぐらし」
自然の近くで手間をかけることを楽しむ「梺ぐらし」を提案。