自然回帰のライフスタイルとワークスタイル
【COLUMN】株式会社第一プログレス
地方への人の流れが個人の幸福と社会の持続可能性を高める
2012年の創刊以来、地方への移住希望者と各地をつなぐためのさまざまな情報発信を続けてきた雑誌『TURNS(ターンズ)』。移住ニーズの高まりとともに、イベントやツアー、ラジオ、EC、人材マッチングなど活動の幅を広げてきた同誌のプロデューサーに、田舎暮らしに対するニーズの変遷や、自然豊かな地域と関わるライフスタイルやワークスタイルが個人や企業にもたらすことなどについて聞いた。
堀口正裕氏
株式会社第一プログレス 代表取締役社長 『TURNS』プロデューサー
時代とともに変わる田舎暮らしの在り方
当社は、地方創生という言葉もまだない頃から、自然豊かな田舎での暮らしを提案するメディアを複数運営してきました。当初は時間やお金にゆとりのある中高年が主な読者層でしたが、リーマンショックや東日本大震災などを経て、自分らしい生き方を見つめ直す機運が高まり、「第二の人生」のためではなく、「今を充実させる」ために地域と関わる人たちが増えてきました。
地方移住には、現地での仕事やコミュニティとの関係などの不安がつきものですが、リモートワークが浸透し、場所にとらわれずに働ける環境が整いつつある中で、自然に近い環境で暮らしたいというニーズも高まっていると思います。最近は全国の空き家を定額で利用できるサービスも広がっていて、これらの多くは自然豊かな環境の中にあります。こうしたサービスを活用しながら、ライフステージに合わせて流動的に住む地域を変えていく生き方も若い世代を中心に支持されています。
豊かな自然環境がもたらすもの
リモートワークによって生まれた空き時間を自分に投資し、「農」や「食」に関することを新たに始める人、仕事の合間に釣りやサーフィンといった趣味を楽しむ人などが増えています。また、自然豊かな環境の中で太陽の光とともに目覚める生活は、精神的なゆとりや睡眠の質の向上などにもつながり、身体的・精神的・社会的に満たされている状態である「ウェルビーイング」も高めてくれます。
こうした「ウェルビーイング」の観点からワーケーションを推進している企業もありますし、ワーケーション中に副業として、滞在地域の企業の課題解決などに貢献する「ジョブケーション」の動きも広がりつつあります。コロナ禍には本社を地方に移す企業も話題となりましたが、移転後に業績が上がったという話も聞きます。自然に近い環境に移ることで仕事へのモチベーションが高まり、日々の暮らしを通じて精神的な豊かさが得られていることも大きく影響しているのではないでしょうか。
持続可能な地域社会の実現に向けて
企業の副業(複業)解禁の流れが強まる中で、自らの知見やスキルを地域に生かす生き方が注目されています。地方に移転した企業の方に取材をすると、東京にいたときよりも副業がしやすくなり、地域貢献もできるようになったという声をよく聞きます。こうした中で企業には、地域の事業者や住民との接点をつくる役割が求められてくると思います。これは、人生における第2・第3の拠点をつくる機会を社員に提供するという意味でも意義あることですし、地域との交流を通じて自然と向き合って暮らしている人たちの営みに触れることには大きな学びがあります。
当社としても、それぞれ異なる地域の魅力を発信するとともに、最近始めたビジネススクールで自らのスキルを地域の中で生かすためのヒントを提供していくことなどを通じて、持続可能な地域社会の実現に貢献していきたいと考えています。
