コロナ禍で広がる「癒やし」消費の形
CASE❶ 株式会社日比谷花壇
日々の暮らしに気軽に花を定額制サービスでコロナ禍の生活者を癒やす
全国に店舗を展開する株式会社日比谷花壇が2019年よりスタートした「ハナノヒ」は、毎月決まった分の切り花を店頭で受け取ることができるサブスクリプションサービスだ。昨年末には、自宅など希望の場所へ花を届ける宅配型の新サービス「ハナノヒ365days」を立ち上げるなど、コロナ禍で高まる生活者のニーズにも応えている同社を取材した。

谷 真由美氏
株式会社日比谷花壇 ホームユースマーケット事業推進室 マネージャー
田村朝紀氏
ハナノヒ運営グループ
来店型のサブスクリプションサービス
日比谷花壇では、「すべての明日に、はなやぎを。」をコーポレートメッセージに掲げ、お客様の特別な贈り物や大切な瞬間を演出することはもちろん、お客様それぞれの多様な暮らしや人生を、花とみどりを通じて豊かにしていくことを目指しています。2019年にスタートしたサブスクリプションサービス「ハナノヒ」も、お客様のライフスタイルに合わせて、日々の暮らしの中で気軽に花を楽しんでいただきたいという思いから生まれました。
「ハナノヒ」が競合サービスと大きく異なるのは来店型であることで、季節を感じながらお好みの花を選んでいただける点や、送料がかからない点などが強みとなっています。「ハナノヒ」では、花の量や頻度によって6種類のプランを用意しており、専用アプリのQRコードを店頭で読み取り店員に提示することで、日比谷花壇グループ外の店舗も含む全国約210カ所で花を受け取ることができます。
花を通じて「おうち時間」を豊かに
「ハナノヒ」の主な利用者層は20~40代の女性で、仕事帰りに店舗に立ち寄り、一日のご褒美として花を持って帰られるお客様などが多く見られます。また、低価格帯のプランも用意したことで、「花に興味はあるけど飾ったことがない」、「飾り方がわからない」といった潜在層を取り込むこともできています。
2020年12月には、近隣に花を受け取れる店舗がないお客様や、コロナ禍で外出を自粛しているお客様を対象にした新サービス「ハナノヒ365days」もスタートしました。花の宅配型サブスクリプションサービスはすでに複数の企業が展開していたこともあり、過ごしたいライフスタイルに合わせてコースを選べるように、スイーツやお茶、食器などとセットにして花を届けるコース企画などによって差別化を図っています。花を軸に生活全体を彩るようなご提案を通じて、コロナ禍で増えたおうち時間を豊かにお過ごしいただけたらと考えています。
花を世話することで得られる癒やし
コロナ禍によって個人向けの花の需要が急速に高まり、「ハナノヒ」の会員数のみならず、店頭やオンラインショップにおける注文数も急増しました。もともと花には空間を明るくしたり、心に癒やしを与える効果がありますが、自宅で過ごす時間が増えたことで、多くの人たちがその効果に気づいたように思います。また、これまで自宅で花を扱うことのなかった方々の中には、「世話に手間がかかる」という認識を持たれていた方も多いと思いますが、コロナ禍で生まれた時間にあえて手間をかけて花の世話をするという行為自体が、その方の癒やしになっているケースも少なくないのではないでしょうか。
今後も、花の楽しみ方や育て方などの情報を積極的に発信し、花に触れる機会がなかった方たちに魅力を伝えるとともに、花好き同士がつながるような場づくりなどにも取り組んでいきたいと考えています。

