コロナ禍の経験を生かした新たな成長へ
INTERVIEW ❷
国内を主軸に海外市場を攻める

北島義典
伊藤忠商事株式会社 ブランドマーケティング第一部門長
低重心経営を基軸に成長
2021年のファッション関連の消費は、コロナ禍からの完全回復にはほど遠いという1年でした。外出自粛によって「ハレ」の日に装う機会が減り、新しい服を買うモチベーションが上がらないのが一番の要因です。今後のリベンジ消費に期待したいところですが、変異株などの懸念材料もあり、当面は低重心経営を継続していきます。
一方で、コロナ禍でも肌着や靴下、タオルといった生活必需品、アウトドアやゴルフウェアなどのスポーツ分野は堅調に推移しました。特にアジア市場では、アウトドア系ブランドに可能性があると考えており、中国やアジアでの「アウトドアプロダクツ」の店舗拡大を進めています。2022年4月には「ペンフィールド」の中国出店も計画しています。当部門の最重要市場が日本であることに変わりはありませんが、今後の成長を考えると海外市場への攻勢が重要で、2022年は中国を中心としたアジア圏への拡販を加速させていきたいと考えています。
消費者が求めるものに「SDGs」を

ブランドマーケティング第一部門でも、サステナブル素材の使用やジェンダーレス対応など、サステナビリティを意識した取り組みを行っています。昨今のSDGsの潮流を考えると、ブランドとしては当然のことですが、その前提に「マーケットイン」という発想があることが重要です。
例えば、コンバースでは「コンバース オフィシャルリペアサービス」を昨年11月に開始しました。「好きなコンバースを長く履きたい」というニーズはかねてからありましたが、オリジナルラベルなどを使用し「オフィシャル」に補修することで、お気に入りの一足を大切に履き続けることができます。これは、「マーケットイン」の発想と「SDGs」を組み合わせた好例だといえます。
また、現在、若手社員の発想によるモバイル決済アプリを活用した新規サービスを試行中です。コロナ禍でライフスタイルが大きく変化する中、このような若手社員の声にも耳を傾けながら、部門方針である「継続と変革の両立」を実現していきたいと思います。