次なる消費リーダー「Z世代」を狙え!

CASE❶ 株式会社ギンビス

ユーザーの自発的な発信を引き起こしZ世代の支持を獲得

1978年の発売以降、おいしく、楽しく、食べて学べるお菓子として愛され続けてきた「たべっ子どうぶつ」シリーズ。その商品特性から、未就学児の子どもを持つ30代が主な購買層となっていたが、近年は「たべっ子どうぶつ」のキャラクターを用いた雑貨の展開が若い世代の間で人気になっている。一連の施策の背景にある狙いや、Z世代の支持を集めている要因などについて話を聞いた。

株式会社ギンビス 広報担当 坂井明野氏

坂井明野

株式会社ギンビス 広報担当

課題だった若年層への取り組み

「たべっ子どうぶつ」は、ギンビスの企業理念である「3つのI」(International=国際性、Independent=独創性、Instructive=教育性)を体現する知育菓子で、「アスパラガスビスケット」、「しみチョココーン」と並ぶ当社の主力商品です。「たべっ子どうぶつ」では10代から20代の市場開拓が長年の課題となっており、2019年頃より雑貨類の展開に力を入れ始めました。そして、「たべっ子どうぶつ」のキャラクターがフィギュアになったカプセルトイがSNSで話題になったことがきっかけとなり、若い世代の間で人気が広がっていきました。

さらに、ポップアップショップで販売したトートバッグやキーホルダーなどの雑貨、「たべっ子どうぶつ」のコスメグッズなどが必ず当たる「一番くじ」なども想定をはるかに超える売上を記録しました。これらをコンビニエンスストアやショッピングモールなどお菓子と共存する売り場を中心に展開したことが功を奏し、お菓子本体においてもZ世代の購入が大幅に増えました。

消費のプロセスを楽しむ姿勢

「たべっ子どうぶつ」は誰もが一度は食べた記憶があるため、昨今のレトロブームの後押しを受けていることに加え、ビビッドカラーの可愛いキャラクターたちを集めてSNSに投稿したいというZ世代の欲求も刺激できているように思います。また、カプセルトイや「一番くじ」は、必ずしも欲しいものを手に入れられるわけではないという点が若い世代のコレクション欲を刺激しているようですし、ただ購入するのではなく、収集するプロセスも含めて楽しんでいただけているのではないでしょうか。

これらの取り組みは基本的にはライセンス事業として展開していますが、一過性のブームに終わらせないためにも、クオリティやブランドのイメージ、こだわりをしっかり守りながら、お客様に本当に求められているものだけをつくっていきたいと考えています。

人気を支えるZ世代の発信力

一連の取り組みを通じて感じているのは、Z世代の発信力です。キャラクターのフィギュアを「たべっ子どうぶつ」のパッケージと並べて撮影した写真や、カプセルトイをコンプリートする動画など、さまざまなコンテンツをお客様が自発的に発信してくださっています。商品を自分だけで楽しむのではなく、SNSなどを通じて周囲の人たちにも紹介したり、魅力を広めるような発信をされていることがZ世代の特徴で、当社としてもSNSなどではなるべく映えるビジュアルを投稿するように心がけています。

今後も雑貨の展開は継続していく予定ですが、先日大きな反響があったLINEの公式スタンプのように、形式にとらわれない発信をしていくつもりです。これまでの「たべっ子どうぶつ」は、10代から20代で一度離れてしまうお菓子でしたが、これらの取り組みを通じてすべての世代から継続的に愛されるブランドになることが私たちの目標です。

「たべっ子どうぶつ」のキャラクターがデザインされた「一番コフレ」
「たべっ子どうぶつ」のキャラクターがデザインされたリップやアイシャドウ、フェイスパウダーなどを詰め合わせた「一番くじ」の「一番コフレ」。
ラバーマスコット付き「たべっ子どうぶつ」グミ
2月にはラバーマスコット付き「たべっ子どうぶつ」グミを発売。お菓子もおまけも楽しい商品。