次なる消費リーダー「Z世代」を狙え!
CASE❷ 株式会社FABRIC TOKYO
ブランド哲学を体現する施策でZ世代の共感を得るD2Cブランド
2014年にスタートしたオーダーメイドのビジネスウェアブランド「ファブリック トウキョウ(FABRIC TOKYO)」。クラウド上に保存された採寸データをもとにオンラインで手軽にスーツをオーダーできるD2Cブランドとして、コロナ禍においても業績を伸ばしている。Z世代からも注目される同ブランドについて、サステナビリティやジェンダーに関する取り組みなどとともにうかがった。

長倉紀子氏
株式会社FABRIC TOKYO 社長室 広報・PR
デジタル世代からの支持を獲得
「ファブリック トウキョウ」は、「Fit Your Life.」をコンセプトに、体型はもちろん、お客様一人ひとりの価値観やライフスタイルにフィットするオーダーメイドのビジネスウェアを提案するブランドです。そのため、お客様にはまず店頭にお越しいただき、採寸によるサイズデータの登録とともにライフスタイルや価値観に関する綿密なヒアリングを行っています。以降はいつどこからでもPCやスマートフォンでスーツをオーダーしていただけます。
自分にフィットするビジネスウェアがないことや、既存のオーダースーツのハードルが高いことなど、当社代表が感じていた課題から事業をスタートした私たちは、年代を問わず、同様の悩みを抱えるビジネスパーソンをターゲットにしています。現在の主な顧客層はデジタルツールの扱いに慣れたミレニアル世代ですが、最近はこれから社会に出ていくZ世代に最適化した施策の強化も図っています。
Z世代からも注目を集める施策
メンズパターンのスーツを提供している当社のお客様は大半が男性ですが、近年は女性からのお問い合わせも増加しています。過去に行った女性向けの採寸イベントも非常に好評だったこともあり、2021年には渋谷MODI店をあらゆる性別のお客様が立ち寄れるオールジェンダーストアにリニューアルしました。こうした取り組みは、ジェンダーに対するフラットな価値観を持つZ世代のお客様からも支持されています。
また、当社は2018年より、世界的なセールイベントである「ブラックフライデー」の時期に合わせて、商品化されず工場や問屋に眠る生地を使ったオーダーアイテムを販売する「“ホワイト”フライデー」というキャンペーンを行っています。滞留在庫の廃棄といった業界の課題に目を向けるとともに、普段の消費行動を見直していただく機会にもなるようなこうした取り組みも、本当に大切なものに時間やお金を使う傾向が強いZ世代のお客様に共感いただけると考えています。
ファッション本来の楽しさも訴求
業界の課題解決や利便性向上のためにテクノロジーを活用するD2Cブランドは、デジタルファーストの環境で育ってきたZ世代と相性が良い業態だと考えています。しかし、当社としては、これからビジネスウェアを着て社会に出るZ世代のお客様から選ばれる「決め手」をしっかりつくっていく必要性を強く感じています。ブランドのフィロソフィーやお客様のベネフィットを、魅力あるコンテンツとしてZ世代の消費行動に大きな影響を与えるSNSなどを通じて発信していくことが目下の課題です。
さまざまなつくり手の思いやストーリーが詰まっている洋服は、非常に文化的なものです。これまでも私たちは、生産の背景やつくり手の思いを丁寧にお伝えするコンテンツづくりに注力してきましたが、特に若い世代に向けては利便性の高さのみならず、人生を豊かにしてくれるファッション本来の楽しさも訴求していきたいと考えています。

