次なる消費リーダー「Z世代」を狙え!

【COLUMN】株式会社電通

Z世代マーケティングのカギは「短尺化」「透明化」「プロセス化」

高校生、大学生を中心とした10~20代の実態に関する定期的な調査や、学生と企業による共創プラットフォーム「バタフライ(βutterfly)」の運営などを通じて、Z世代の実態に迫る電通若者研究部。「若者から諦めるをなくす」を自らのモットーに掲げ、同組織での活動に携わっている用丸雅也氏に、Z世代の消費行動における特徴やマーケティングのポイントなどを聞いた。

株式会社電通 第2クリエーティブプランニング局 Future Creative Center 電通若者研究部 ブランディングディレクター 用丸雅也氏

用丸雅也

株式会社電通 第2クリエーティブプランニング局 Future Creative Center 電通若者研究部 ブランディングディレクター

Z世代に顕著な2つの消費行動

Z世代の消費行動を語る上でのポイントは大きく2つあり、一つは「サステナビリティ・ネイティブ」の世代であることです。子どもの頃から、大震災や気候変動などの影響を受けてきたZ世代にとってサステナビリティは当たり前の概念であり、消費行動においても商品に用いられている素材や生産背景などに理由を求める「イミ消費」の傾向が強いといえます。

もう一つの特徴は、タイムパフォーマンス意識の高まりです。情報の波にさらされ続けているZ世代にとって、情報は自ら取りにいくものではなく、選ぶものです。自分に無用な情報を受け流す力が求められているともいえる中で、時間の短縮が重要なテーマになっており、TikTokなど短尺で消費できるコンテンツが人気を集めていることもそれをよく示しています。

「モノ選び」よりも「モノサシ選び」

SNSの浸透によって情報に「表裏」がない時代を生きてきたZ世代は、良い面だけを切り取った企業側の発信を鵜呑みにせず、そこに嘘がないのかというファクトチェックをする習慣が根付いています。また、情報があふれ、モノのコモディティ化も進む中、Z世代にとっては「モノ選び」以上に「モノサシ選び」が重要になっており、信頼できる個人がSNSなどで発信する情報を信じて消費する傾向が強いといえます。

「KY」という言葉に象徴されるように周囲の空気を読むことが求められた上の世代に対して、Z世代は自分が好きなことや努力していることをためらわずに発信していることも特徴です。そこには、お互いの違いを受け入れる「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」の考え方が前提としてあり、同時に自ら発信することで趣味嗜好が合う人やコミュニティとつながりたいという欲求も見られます。

「嘘のなさ」が共感を集める

このような特徴を持つZ世代とコミュニケーションをする際には、「短尺化」「透明化」「プロセス化」がカギになります。これらを象徴するコンテンツとして、ミュージシャンが一発撮りのパフォーマンスを披露する「ザ・ファースト・テイク(THE FIRST TAKE)」や、ガールズグループ「ニジュー(NiziU)」を生んだオーディション番組「ニジプロジェクト(Nizi Project)」などが挙げられます。アパレル業界においても、服づくりのプロセスをコンテンツとして発信するプロジェクトや、商品の原価率を開示しているブランドなどが若い世代から支持されていますが、これらに共通するのは「嘘のなさ」です。「上から目線」で完成されたコンテンツと向き合うことよりも、「横から目線」で背景にあるストーリーを含めて追体験できる透明性があるものが好まれています。

これらがZ世代マーケティングにおけるポイントになりますが、何よりも大切なことは企業やブランドとしての思想や、社会における存在意義を明確にしていくことだと考えています。電通若者研究部としてもこうした観点から企業と若い世代の間に立ち、両者の橋渡しをする翻訳者になりたいと考えています。

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学生と企業のβ版共創プラットフォーム「バタフライ」。異なる視点の化学反応からビジネスイノベーションを生み出していく。
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新卒採用のトレンドと新事例を解説・考察するプログラムをオンラインで開催するなど、電通若者研究部では世代間の橋渡しのためのさまざまな活動を実施している。