女性がより活躍しやすい時代へ~フェムテックの現在~

取材先
(社名50音順)
株式会社TRULY CEO 二宮未摩子氏
fermata株式会社 COO 近藤佳奈氏
株式会社Be-A Japan 代表取締役COO 髙橋くみ氏
COLUMN

株式会社日立コンサルティング

スマート社会基盤コンサルティング第2本部 マネージャー

神谷浩史氏
シニアコンサルタント 間杉奈々子氏
取材先(社名50音順)
株式会社TRULY CEO 二宮未摩子氏
fermata株式会社 COO 近藤佳奈氏
株式会社Be-A Japan 代表取締役COO 髙橋くみ氏
COLUMN

株式会社日立コンサルティング

スマート社会基盤コンサルティング第2本部 マネージャー

神谷浩史氏
シニアコンサルタント 間杉奈々子氏

女性の社会進出、ジェンダー平等意識の高まり、SNSの浸透などによって、女性たちが声を上げやすい社会が訪れ、生理ケア、妊産婦の健康、更年期など女性特有の健康課題をテクノロジーによって解決する「フェムテック」への関心が高まっている。女性起業家らによるベンチャー企業が中心となって市場を開拓してきた日本においても、近年は大手企業の参入が目立ち、百貨店やファッションビルなどにおいてフェムテックに特化したポップアップショップや常設店が展開される動きも見られる。本号では、3月8日の国際女性デーに合わせ、成長する市場において関心を集める製品やサービスを展開する企業への取材を行い、フェムテックビジネスの最前線に迫る。

市場の黎明期を進むフェムテック・ビジネス

急成長するフェムテック市場

「#MeToo」運動など時代の潮流と相まって欧米を中心に発展してきたフェムテックだが、「フェムテック元年」といわれる2020年以降、日本でもその存在感は日増しに高まっている。同年に、サニタリー用品の新たな選択肢として吸水ショーツをリリースした「Bé-A(ベア)」は、クラウドファンディングで1億円を超える支援を集めたことでも注目された機能性下着ブランドだ。株式会社Be-A Japan(ベア ジャパン)の代表取締役 COOの髙橋くみ氏は、「クラウドファンディングを通じて女性ならではの悩みを抱える方がいかに多いかがわかり、身が引き締まる思いがした。コロナ禍によって改めて自己と向き合い、自分にとっての心地良さを追求する機運が高まったことも後押しになった」と予想を超える支持を得た要因を分析する。現在では全国の百貨店やドラッグストアなどでも展開されるなど、同ブランドが先陣を切って開拓した吸水ショーツ市場は大手メーカーの参入なども相まって拡大を続けており、フェムテックの認知を生活者に広げることにも大きく貢献している。

吸水ショーツの普及にも尽力するなど、日本やアジアにおけるフェムテック市場の発展を目指し、フェムテック製品の販売や企業のコンサルティングなどを行うfermata(フェルマータ)株式会社もこの業界の先駆者だ。同社に創業時から関わるCOOの近藤佳奈氏は、昨今のムーブメントについて、「決して女性の意識が変化したわけではない。女性たちが以前から感じてきた不快さは解決できるものであることをフェムテック製品が示したことによって、それぞれが自分の中にあった課題に目を向けられるようになった」と語る。同社では、国内外のフェムテック製品を紹介する「Femtech Fes!(フェムテック・フェス)」や、各種オンラインイベントなどでフェムテックに関する情報を無料で提供しているが、生活者が課題自体を認識していないともいえる現在の市場黎明期においては、こうした啓蒙活動も重要な取り組みとなっている。

女性の活躍で顕在化する課題

更年期の心身の不調によって昇進の辞退や退職を選択する女性が増えるなど、更年期の労働損失が社会課題になる中、専門家が監修する信頼性の高い情報の発信やチャットによる悩み相談などのオンラインサービスを提供しているのが、株式会社TRULY(トゥルーリー)だ。広告代理店在籍時に同サービスを立ち上げたCEOの二宮未摩子氏は、「我慢強いといわれてきた日本の女性だが、社会での活躍機会が増えたことによって更年期の課題が顕在化してきている。思春期と同様に誰もが迎える更年期を日常的なものとしてポジティブに乗り越えていける社会や文化をつくっていきたい」と語り、その実現に向けて企業や自治体などとの連携を強化している。乳がんの啓発活動として知られるピンクリボンのように、更年期の課題と向き合う運動を社会に広げていくことが同社の見据える未来だ。

TRULYの法人向けサービスの引き合いが増えていることからもわかるように、近年は福利厚生や事業開発を目的にフェムテック領域に関わる大手企業も多い。fermataの近藤氏は、こうした現状について「大企業がフェムテック領域に参入することで女性の健康課題に対する認知や理解が進むことは確かだが、参入自体が目的化している企業も少なくないのが現状。今後は自社のアセットを使って社会にどんな価値を提供できるのかという観点がより大切になってくる」との見解を示す。SDGsやESGが社会のキーワードになっている中、フェムテックに参入する企業においても既存の慣習や経済合理性だけにとらわれない姿勢が求められてくるだろう。

フェムテックが導く未来とは

国内においては、薬機法などによる規制やジェンダーギャップ指数の低さなど、フェムテック市場の発展を妨げる要因が指摘されることもしばしばある。しかし、豊富な海外での生活経験を持つBe-A Japanの髙橋氏は、「日本のように生理休暇がある国は珍しく、必ずしも欧米に比べてジェンダー意識が低いとは思わない。宗教上のタブーなども少ない日本は自由度が高く、世界に誇るモノづくりの技術も大きな力になる」と市場の未来を肯定的に捉えている。国内の工場と試行錯誤を重ねた末に、優れた機能性と品質を備えた製品の開発に至った同社の取り組みのように、国内企業が世界基準のフェムテック製品・サービスによってグローバル市場で存在感を示すことも不可能ではないだろう。

今回取材した各社が、性差を超えて個人の課題解決と向き合う姿勢を共通して持っていたことにも注目したい。女性らしさに固執しないサービスデザインに努めているというTRULYの二宮氏は、「フェムテックという言葉が、自分の体と向き合うきっかけになっていることは素晴らしいが、女性だけの課題に限定してしまう恐れもある。特に更年期症状は男性にもあるからこそ、性差を超えてすべての人が向き合う課題であるという認識を広めていきたい」と語る。フェムテックを起点に企業や社会が個人の課題と向き合い、相互理解に努めていくことは、多様な個が活躍できる社会の実現にも寄与するはずだ。

フェムテック製品の販売や企業のコンサルティングなどを行うfermata株式会社
fermataは、フェムテック専門のオンラインストアやショップでのフェムテック製品販売、企業コンサルティング、コミュニティの運営などを行う。
機能性下着ブランド「Bé-A」
モレを防げるという安心感や、ムレにくさ、乾きやすさなどの快適性を大切にした機能性下着ブランド「Bé-A」。このカテゴリーを牽引する存在となっている。
更年期にフォーカスしたサービスを提供する「TRULY」
更年期にフォーカスしたサービスを提供するTRULYでは、チャットサービスなどを通して気軽に女性医師や専門家に悩みを相談できる環境を整えている。