女性がより活躍しやすい時代へ~フェムテックの現在~
CASE❶ 株式会社TRULY
更年期をポジティブにとらえ男女の相互理解を促す
2019年に設立された株式会社TRULY(トゥルーリー)は、女性の更年期や閉経の悩みに寄り添うオンラインサービスを提供している。生理や妊娠に関連する製品やサービスは広く展開されている国内フェムテック市場において、多くの日本女性が向き合う更年期にフォーカスしたサービスとして存在感を強めている同社の代表に、起業の経緯やサービスの概要、今後の展望などを聞いた。

二宮未摩子氏
株式会社TRULY CEO
女性の更年期の先まで寄り添う
当社は、「閉ざされた悩みに向き合い、男女が理解し合える社会へ」をミッションに掲げ、女性の更年期の先まで寄り添っていくフェムテックカンパニーです。かつて、大手広告代理店で働いていた私は、妊娠時に働くことが困難なほど激しいつわりに見舞われ、女性の心と体は女性ホルモンの影響を大きく受けることを痛感しました。この経験をもとに、妊娠の次に女性ホルモンの大きな変化が訪れる更年期をポジティブに過ごせるようにしたいという思いで当社を立ち上げました。
高齢化が進む日本では、いまや女性の2人に1人が50歳以上です。また、社会で活躍する女性たちのキャリアのピークが更年期と重なってしまい、心身の不調からキャリアを諦める女性が多くいらっしゃるのが現状です。このような状況の中、当社では女性ホルモンの変化による「更年期」、「膣ケア」、「性の悩み」などの課題に寄り添うサービスを展開しています。
3つのステップでサービスを展開
女性の中には、自分の悩みが更年期によるものかわからずに悩んでいる方や、婦人科や病院に行くことに抵抗を感じる方が一定数います。そうした中で当社は、「知る」、「調べる」、「相談する」の3ステップでサービスを展開しています。まず、「知る」については、医師や専門家の監修のもと、信頼性の高い情報を発信するメディアの運営に加え、法人向けに企業のニーズに応じたコンテンツの提供や、従業員に向けたセミナーなどを行っています。
「調べる」では、「更年期度」や「デリケートゾーン ・膣トラブル度」など自分の心と体の状態を正しく知るためのセルフチェックを提供しています。そして「相談する」では、更年期症状に限らず、生理や性、パートナーシップ、メンタルなどホルモンに関わるすべての悩みをLINEで女性医師や専門家に相談できるチャットサービスを運営しています。
性差を超えて更年期と向き合う
現在、当社のサービスを企業の福利厚生として導入いただくケースに加え、フェムテックや更年期をテーマにした事業や商品開発のサポートをすることも増えています。一方で、更年期女性という限られた層向けのサービスであるという認識から、企業全体の課題として理解されにくかったり、協業が進みにくいケースも少なくありません。しかし、近年は生活習慣病や動脈硬化、認知症などに発展しやすい男性の更年期症状も注目されています。こうした中で当社は、更年期が女性に限らない課題であること、男女の相互理解や生産性向上につながるものであることをお伝えしていくように心がけています。
また、渋谷区や神戸市などの自治体と連携し、更年期ケアの重要性を啓蒙する取り組みもスタートしました。今後は産官学の連携を強化し、更年期を男女問わずポジティブに向き合えるものにしていきたいと考えています。

