女性がより活躍しやすい時代へ~フェムテックの現在~
CASE❷ fermata株式会社
フェムテックを国内外からキュレーションし市場の活性化を促進
国内外のフェムテック関連プロダクトを日本に紹介する「Femtech Fes!(フェムテック・フェス)」の開催を機に設立されたfermata(フェルマータ)株式会社。女性の体にまつわる悩みや課題の解決につながるフェムテックを日本やアジアに広げていくために、フェムテック製品の販売や企業のコンサルティング、コミュニティの運営などを行う同社の創業メンバーに、事業の概要や国内フェムテック市場の現在について聞いた。

近藤佳奈氏
fermata株式会社 COO
課題解決の選択肢を提示する
当社が設立された2019年当時、国内でフェムテックという言葉を使っていたのは、一部の投資家らに限られていました。投資家としてこの市場を見ていた杉本亜美奈(CEO 兼代表取締役)が、フェムテックの概念を日本やアジアにも広げるべく、中村寛子(CCO 兼代表取締役)とともに当社を創業しました。私たちもメディアを活用した話題づくりに尽力し、吸水ショーツが市場に普及したことなどによってフェムテックの認知度は高まり、2年ぶりに開催した「Femtech Fes! 2021」では、コロナ禍の制限下にもかかわらず、1,441人にご来場いただきました。一方で、ご自身の体にまつわる「課題」を自覚していない女性が少なくないことも事実です。そうした中で当社は、さまざまなイベントなどを通して課題を課題として認識し、同時に解決の選択肢があることを知っていただくことに努めてきました。
高まるフェムテック製品への関心
2020年に立ち上げたフェムテック専門のオンラインストアであるfermata storeでは、当時はまだ買える場所が少なかった吸水ショーツなどが人気を集めました。現在も、幅広い世代に共通する健康課題である生理関連のプロダクトが最も売れるカテゴリになっています。一方で、更年期女性の課題を解決するプロダクトは、まだ選択肢が少ないのが現状です。女性の活躍機会の増加などによってこれまで以上にニーズが高まることが予想される中、当社としてもこの領域には力を入れていきたいと考えています。
2020年7月にオープンした実店舗や、百貨店でのポップアップショップなどでは、商品について熱心に質問をされるお客様も多く、フェムテック製品に関心を持つ女性が増えていることを実感しています。しかし、市場はまだ黎明期で、生産数も少ないフェムテック製品は価格が高く、若い層が手を出しにくい点や、法制度や品質基準の整備がされていないなど課題も多く、これらをブレイクスルーすることが市場活性には不可欠だと感じています。
適切な情報を届けるプラットフォームに
フェムテックがメディアなどでも頻繁に取り上げられるようになり、当社の知見やユーザーコミュニティを頼ってご相談くださる企業も増えています。現在は、福利厚生としてのフェムテック製品・サービスの導入や、フェムテック領域における新規事業創出をサポートしています。特に最近では、自社の技術を活用してフェムテックという新しい市場に参入し、価値を提供しようとする企業も増えており、当社としてもこうした事例を増やしていきたいと考えています。
当社はフェムテックにまつわるプロダクトを日用品のように社会に浸透させたいと考えていますが、そのためには、情報の格差を埋めていくことが必要となるはずです。今後も、女性たちの悩みや要望をすくい上げながら、フェムテックに関する適切なモノや情報を一人ひとりに届けられるプラットフォームになることを目指していきます。

