女性がより活躍しやすい時代へ~フェムテックの現在~

【Insight】— Special Feature —

誰もが安心してフェムテックを利用できるように

株式会社エムティーアイが2000年より提供している「ルナルナ」は、ライフステージや悩みに合わせて女性の一生をサポートする女性向け健康情報サービス。フェムテックという言葉が生まれるずっと以前から、女性の体に向き合い、寄り添うサービスを提供してきた同社に、意識の変化や今後の行方について取材した。

株式会社エムティーアイ ヘルスケア事業本部 ルナルナ事業部 副事業部長 那須理紗氏

那須理紗

株式会社エムティーアイ ヘルスケア事業本部 ルナルナ事業部 副事業部長

サービス拡充と研究

当社は、2000年に携帯電話向けの有料公式コンテンツとして生理日記録・管理ツールの提供を開始しました。その当時は、今以上に生理を語ることがタブー視されていた時代であり、すべての携帯電話会社で展開されるまでには7年もかかりました。そしてスマートフォンの時代になると、基本機能を無料アプリで提供することでサービスがより多くの女性に届くようになり、現在では生理関連だけでなく、妊活支援や医療機関の受診をサポートするなどサービスの拡充に努めています。また、「ルナルナ」のユーザーデータをビッグデータとして解析し、独自の排卵予測アルゴリズムを提供したり、大学や医療機関と連携して女性のヘルスケアに関する研究を行うといった取り組みも積極的に進めています。

個人の課題から社会の課題へ

女性の健康に関して世の中の意識が大きく変わったのは、2019年に経済産業省が「健康経営における女性の健康の取り組みについて」の実態調査で月経随伴症状による労働損失が4,911億円にのぼると報告したことが大きかったと思います。その頃から、女性の健康問題が明らかな社会課題となり、当社でも2020年から福利厚生制度として導入し、グループ会社が提供する「オンライン診療を活用した婦人科受診と低用量ピル服薬支援プログラム」も、多くの企業から問い合わせをいただいています。

また、2020年11月に迎えた20周年を機に、女性の体と心の理解浸透プロジェクト「FEMCATION(フェムケーション)」も始動しました。これは、FEMALE(女性)とEDUCATION(教育)をかけ合わせた造語で、社会人だけでなく、学校教育、SNSによる情報発信など、年齢や性別を問わず誰もが女性の健康について正しく学べる機会を創出するのが目的で、その中の「女性のカラダの知識講座」を実施してくださる企業も増えています。2021年11月には、このプロジェクトを通して男性側の意識や理解度などを調査し、『FEMCATION白書』として公開しました。

フェムテックの今後

フェムテックはその定義が難しいこともあり、商品やサービスの見極めがユーザーのリテラシーに委ねられているのが現状です。今後はユーザーが不利益を被らないよう、法規制やガイドラインの整備などが必要となるでしょう。当社もそうした動きに尽力しながら、女性の病気に関する啓発、更年期への対応、産婦人科へのアクセシビリティなどにも取り組み、女性に寄り添うサービスを提供し続けていきたいと思います。

男性1,000人に聞いた女性の健康課題への認知理解
女性特有の健康課題は解決すべきだと「非常に思う」「やや思う」と回答した男性は合わせて77.1%。年齢別では、15歳~24歳で「非常に思う」の割合が最も多く、若い世代ほど意識が高い。