エイジレス時代~アンチからポジティブエイジングへ〜

CASE❶ 花王株式会社

年齢や性差を超えて「希望」を発信する化粧品ブランドへ

30代から40代の女性をメインターゲットに据えてきた花王のプレステージブランド「KANEBO(カネボウ)」は、2020年春にリブランディングを行い、20代から100歳を超える男女を対象とする「ジェンダーインクルーシブ」、「エイジレス」なブランドへと生まれ変わった。「I HOPE.」を新たなブランドメッセージに掲げ、幅広い層から支持と共感を得ている同ブランドの商品開発などについて聞いた。

花王株式会社 化粧品事業部門 「KANEBO」 PR担当 星野由紀氏

星野由紀

花王株式会社 化粧品事業部門 「KANEBO」 PR担当

「化粧」という行為がもたらす力

「KANEBO」は、花王の化粧品事業がグローバルで注力するブランドとして選定した11のブランド「G11」の一つです。2016年に、グループ会社のカネボウ化粧品の名を冠して誕生。2020年春にリブランディングを行い、「美」ではなく「希望」を発信するブランドとして新たなスタートを切りました。カネボウ化粧品は、1980年代から、CMなどを通じていち早く、自立を目指す女性たちを応援し、「希望」を発信してきた歴史があります。その思いを受け継ごうと決めました。一方、今の時代は、「ジェンダーレス」の価値観が広がり、人生100年時代ともいわれています。そこで、女性に限定せず、老若男女を問わず一人ひとりが持つ「希望」を引き出していくことをブランドの新たな使命に据えました。

化粧品が提供できる価値は、見た目を美しくすることだけではありません。化粧という行為を通して自分の気持ちや行動が変わり、ひいては人生や社会までも大きく動かす力になる。化粧品には、そんなワクワクする未来を描く力があるという信念が、リブランディングの背景にありました。

自身の肌を肯定する化粧品

私たちは、老若男女すべての方が使いやすいものであることはもちろん、年齢を重ねても自分らしく輝けることへのワクワク感や「希望」を引き出すモノづくりにこだわっています。例えば、今年の9月にリリースされるファンデーション「カネボウ ライブリースキン ウェア」には、カバー力がありながら肌本来の「ツヤ・キメ・色」を生かした素肌の質感を再現できる新技術が搭載されており、自分の肌を好きでいたいと思うお客様の気持ちに寄り添った商品になっています。

こうしたブランドの姿勢は店頭のコミュニケーションにおいても変わりません。シミやシワなどお客様のお肌のお悩みを解決するということだけでなく、ご自身の肌の可能性を信じていただき、商品を通じて肌が変わることにワクワクしていただけるような接客をしたいと考え、日々試行錯誤を続けています。

世代を超えて広がる支持

リブランディング以降は、既存の40代以上のお客様に加えて、20代から30代の若い世代や男性の方からの支持も増え、好調に推移しています。リブランディングに合わせて展開したCMでは、1980年にヒットした渡辺真知子さんの『唇よ、熱く君を語れ』をカバー選曲し、モデル・女優の中島セナさんら若い世代にご自身の言葉で希望を力強く語っていただくことで、幅広い世代から共感の声が寄せられました。昨年8月に「希望よ、動き出せ。」というメッセージを掲げて展開したCMも非常に好評で、私たちの思いが受け入れられている実感があります。

今の10代から20代の方たちは既存の常識や価値観に縛られず、自由にさまざまなチャレンジを楽しまれている世代です。これからも、なりたい自分になれる時代を生きる皆様に響くブランドとして、年代や性別を限定することなく、自分らしい価値観を表現したい方々の「希望」を引き出す唯一無二の存在になりたいと考えています。

「ポジティブな力を引き出す存在の一つでありたい」というメッセージが込められているKANEBOのCM
サイトで公開されているCM。どんなときも「化粧品」が寄り添い、ポジティブな力を引き出す存在の一つでありたい。CMにはそんなメッセージが込められている。
今年9月リリース予定の「カネボウ ライブリースキン ウェア」
今年9月リリース予定の「カネボウ ライブリースキン ウェア」。
「カネボウ ライブリースキン ウェア」に採用されている新しいゲル化技術
採用されている新しいゲル化技術は、もともと持つ肌の美しさを損なわず、自然に肌悩みをカバーできる画期的な技術だ。