エイジレス時代~アンチからポジティブエイジングへ〜
CASE❷ 東京ニットファッション工業組合
フランスの「エイジレス」な価値観をメイド・イン・ジャパンの技術で発信
パリ在住のスタイリスト兼ライターのヒロコ・ルレ氏がディレクターを務める「ルレアッシュ(LERET.H)」は、あらゆる世代の女性に向けられた「エイジレス」なアンダーウェアブランドだ。補正下着などの製造を行ってきたブルームリュクスの国内工場で、熟練の職人たちによってつくられている同ブランドの製品に込められた思いや製造のプロセスなどについて取材した。

ヒロコ・ルレ氏
「ルレアッシュ」 ディレクター

土井正美氏
株式会社ブルームリュクス 企画営業
フランス女性の艶感を伝える
「ルレアッシュ」ディレクター ヒロコ・ルレ氏
私は長年パリでスタイリストやライターなどの仕事をしてきたのですが、2015年のパリ同時多発テロを機に日本からの仕事が大きく減りました。そのときにこれまでの仕事を振り返るとともに、これから自分にできることを模索し、もともと好きだった下着をつくりたいという考えに至りました。肌に最も近い装いであるアンダーウェアを通して、内面からワクワクしたり、気持ちを整えられるものをつくりたいという思いがありました。そして、日本の下着メーカー約50社に手紙を送り、ブルームリュクスさんとのご縁に恵まれました。
当初は、「大人のためのアンダーウェア」をテーマに据えていました。フランスには、年齢にとらわれず自分らしく魅力的に輝いている女性たちが多く、そうした女性たちの艶感やフランスの空気感をデザインに落とし込みたいと考えていたのです。
あらゆる世代の美を引き出す
サンプルを何度もつくり、試行錯誤を繰り返す中で、世代を超えて身につけられるアンダーウェアをつくれるという手応えを感じ、「すべての世代を美しく見せるエイジレスなブランド」として展開していくことにしました。シンプルでソリッドなデザインにこだわり、自然体を重視する若い世代においては内面から発せられるエネルギーを引き出し、ミドルエイジに関しては身体のラインを矯正・補正するのではなく、体型の変化を優しく包み込むことで、大人の女性の魅力を最大限に引き出すアンダーウェアをつくることができたと自負しています。
まだまだこれからのブランドではありますが、すでに国内では多彩なプロジェクトが進行しています。私が暮らすヨーロッパでもさまざまなコンタクトを取っているところで、ヨーロッパの方たちにメイド・イン・ジャパンの素晴らしさをお伝えできればと考えています。
試行錯誤を重ねた製造プロセス
株式会社ブルームリュクス 企画営業 土井正美氏
当社では、これまで補正下着を中心としたインナーを製造してきました。ヒロコ・ルレさんが構想されていたアンダーウェアはそれらとは対極にあるものでしたが、その思いや女性観に強く共感し、ご一緒させていただくことになりました。製造は試行錯誤の連続でしたが、どの世代が身に着けても美しく見えるデザインを追求しました。着け心地にもこだわって、生地選びからヒロコさんにお願いしました。また、素材はすべて日本製で、天然シルクや植物由来の再生セルロース繊維を用いています。
製品は当社のオンラインショップで販売しており、20代から60代まで幅広い年齢層にお買い上げいただいています。オンラインショップを開設する前にヒロコさんと共に各地でポップアップストアを開いたこともあり、アパレル業界の方からも関心を寄せられています。これからもヒロコさんが考える「エイジレス」や「サステナビリティ」を製品を通じて発信し、一緒にブランドを育てていきたいと思っています。

