エイジレス時代~アンチからポジティブエイジングへ〜

CASE❸ メグミウラ ワードローブ

商品カテゴリを限定し幅広い層にメッセージを訴求する

アパレル企業で多彩な経験を積んだ三浦メグ氏が、2016年に立ち上げた「メグミウラ ワードローブ(MEGMIURA WARDROBE)」。コロナ禍によって海外との取引が難しくなったことを機に、同ブランドは「ジェンダーレス、エイジレス、ボディポジティブ」を掲げ、アウターに特化したブランドへと生まれ変わった。リブランディングの経緯や新しいコンセプトに込められた思いなどを聞いた。

「メグミウラ ワードローブ」 デザイナー 三浦メグ氏

三浦メグ

「メグミウラ ワードローブ」 デザイナー

アウターに特化したブランド

「メグミウラ ワードローブ」は、日本のさまざまな産地の技術を生かしてつくった洋服を、主に海外に発信していくブランドとしてスタートしました。しかし、コロナ禍によって海外との取引が難しくなり、国内需要を開拓していく方向に舵を切ることにしました。

以前は20代から30代の女性をターゲットにしていましたが、国内に目を向け、改めてブランドが幸せにしたい人たちは誰なのかということを考えたとき、それは20代、30代の女性だけではないと感じ、「ジェンダーレス、エイジレス、ボディポジティブ」をブランドの新しいコンセプトに据えることにしました。そして、これらを体現するために、体型や性差の影響を最も受けにくいアウター一本に絞るという選択をしました。服飾史を振り返っても、もともとコートは性差に関係なく着られていた歴史がありますし、カテゴリを絞り込むことでブランドのコンセプトやメッセージが際立つのではないかという考えもありました。

体型に左右されないシルエット

360度どこから見ても美しいコートを目指す「メグミウラ ワードローブ」では、シルエットやサイズ感にこだわっています。他のブランドに比べて1.5倍ほど大きなシルエットが特徴で、3サイズ展開の各商品を体型の違いではなく、お好みのフィット感で選んでいただく提案をしています。また、ボンディング素材でハリを出すことによって、どんな体型の方でもシルエットが大きく変わらないような工夫も施しています。

リブランディング直後は、従来からの卸先であるレディースのお店との取引が中心でしたが、最近はメンズのお店での取り扱いも増えています。年齢層も20代から60代、70代にまで広がり、これまでの顧客にはいなかった小柄な方などからも支持されるようになって、親子で同じ商品を共有されるといった現象も生まれています。

各年代のお悩みに寄り添う

商品の型数を絞る一方でカラーバリエーションは豊富に展開しているのですが、限定されたアイテムやカテゴリの中で選択肢を多く用意するというアプローチにも手応えを感じています。一方、お客様それぞれの課題を解決していくことがこれからは大切だと感じています。例えば、洋服に関するお悩みというものは年代によって変化していくものなので、各年代のお悩みに寄り添い、ニーズを吸い上げながら、より良いアウターの形を考えていきたいと思っています。

ゆくゆくは「ジェンダーレス、エイジレス、ボディポジティブ」というコンセプトを、別のカテゴリの商品群で表現したいという思いがあります。また、「ジェンダーレス」や「エイジレス」に対する考え方は国ごとに異なるはずですし、ブランドのメッセージやコンセプトが海外でどう受け止められるのかを現地に行って確かめたいという思いもありますので、改めて海外への展開も視野に入れています。

羽織るだけで、360度美しいコート「メグミウラ ワードローブ」
「羽織るだけで、360度美しいコート」として、コートスタイルのスタンダードを再構築している「メグミウラ ワードローブ」。年齢や性差、体型を問わずに着られる新たなシルエットを提案し、顧客の年齢層を広げている。