今、ソーシャルビジネスを考える 〜社会の課題解決に挑む〜
― 座談会 ―
経済活動と社会性のバランスを意識
斉藤優也氏
合同会社クアッガ 代表
地球が抱える問題と多角的に向き合う取り組みを一つひとつ積み上げていきたい (斉藤)
浅沼:ファッション、アート、食と異なる領域で活動している皆様ですが、理不尽な状況に置かれた人や物事が身近にあり、それらに対して単に援助や支援をするのではなく、労働に見合った対価が還元される仕組みをつくり、ビジネスを通じてより良い社会をつくっていくという発想が共通しているように感じます。当然、ビジネスとして続けていくためには利益を上げていかなければならないわけですが、自分たちのビジネスをサステナブルなものにしていくためにはどんなことを意識されていますか。
松田:当初は、お預かりした作品のデータを企業に持ち込んでライセンス展開をするビジネスの形を考えていたのですが、どうしてもチャリティ事業のように捉えられてしまうところがあり、なかなか結果が得られませんでした。そこで自社ブランドの展開に舵を切り、障害のある作家のアートが素敵なものに見える世界観を自分たちの店舗で表現したところ、徐々に企業からも声をかけていただけるようになりました。消費者の立場からしても、まずは単純に素敵なもの、カッコ良いものであるということが重要で、結果的に社会性もある取り組みなのだと知ってもらえれば良いのだという考えを、この方向転換によって持つことができました。
王:2006年に設立した当社は、ソーシャルベンチャー第一世代に位置づけられることもあるのですが、自分たちとしてはあまりピンときていないところがあります。もちろん、社会にインパクトを与えることは意識していますが、それ以上に「自分たちがやりたいからやっている」という感覚が強いですね。やりたいことがあるがゆえに、生産から販売までのサプライチェーンを自分たちで持っているのですが、これはビジネスの観点からはリスクであるともいえます。ある意味、自分たちで制約をつくっているところがあるのですが、だからこそ経営陣から店頭スタッフまでのすべてが利益というものにこだわっています。それがゴールではないのですが、やりたいことを続けていくためには利益が必要だと考えています。
斉藤:まさにお二人がおっしゃるように、私も自分が本当にやりたいからやっているというところが大きいですね。私の場合は、小さい頃から自然環境に関心を持っていたので、会社をつくる際には、逆に強い思いを持っている人をなるべく入れない方がいいのではないかと考えていたところがありました。実際に現在の当社のメンバーは必ずしも自然環境やフードロスの問題に強い関心があるわけではありません。ソーシャルビジネスといわれる領域であろうと、ビジネスとして続けていく以上は経済サイクルの中でビジネスを成立させないといけない。たまたま自分が関心を持った分野が社会的意義があるとされているだけであって、会社として続けていくためには経済を中心に考える必要があると思っています。
