今、ソーシャルビジネスを考える 〜社会の課題解決に挑む〜

― 座談会 ―

パートナー企業との関係性

株式会社ヘラルボニー 代表取締役社長 CEO 松田崇弥氏

松田崇弥

株式会社ヘラルボニー 代表取締役社長 CEO

これから生き残れるかどうかはやはりプロダクトのクオリティ次第ですね (松田)

浅沼:松田さんのお話にもあったように、たとえ魅力的な商材だとしても、すぐにはポジティブな反応が得られないこともあるかと思いますが、企業との取り組みにはどのようなスタンスで臨んでいるのでしょうか。

松田:アートのIPビジネスは、壁紙やテーブルなどさまざまな展開ができることもあり、企業側からするとコラボレーションがしやすい対象ですが、創業当初は門前払いされるようなことも多くありました。近年はダイバーシティやインクルージョンの潮流に後押ししてもらっている感覚はありますね。でも、こうした時代の波が引いたときに生き残ることができるか否かは、やはりプロダクトのクオリティ次第だと考えているので、自分たちからはSDGsなどの文脈を打ち出さないようにしています。実際に最近は、CSRなどの観点からコラボレーションのご相談をいただく機会も多いのですが、一回限りで終わってしまう傾向があり、そこには問題意識を持っています。当社としては、3年から5年くらい先を見据えて一緒に取り組んでいける企業とコラボレーションしたいという思いが強いですね。

斉藤:私たちは、小規模なパン屋さんと提携することが多いのですが、それは自分たちの取り組みに共感してくれる人たちに参加してもらい、周りにも発信してもらうことで、社会に新しい価値観や流れをつくっていきたいという思いがあるからです。ビジネスを始めた当初は、焼きたてのパンじゃないと売りたくないというところが大半だったので、共感を得るのは簡単ではありませんでしたが、そこから数年が経ち、消費者の間でも焼きたてじゃなくても、社会に貢献できる「ロスパン」の方が良いといった声が聞かれるようになりました。今後は、パン屋さんや消費者の方々などパートナーと協力し、カーボンフットプリントや地産地消の取り組みなども進めていきたいと考えています。どうしても飲食業は目の前の売上が最重要になるので足元はしっかり固めつつ、2年後、3年後を見据えた取り組みも形にしていきたいです。

王:当社では、途上国から世界に通用するブランドをつくるということを理念に掲げ、メイドイン・パリやメイドイン・イタリーなどの製品が与えてくれるワクワク感のようなものを、途上国から届けたいという思いを大切にしてきました。こうしたスタンスは、ビジネスパートナーとなる百貨店や商業施設と向き合う上でも変わりません。例えば、旅行などの帰りに空港にあるフェアトレードのお店で何かを買うときは、途上国への支援の気持ちから買ってあげようという意識が少なからず働いていると思うんですね。でも、このような動機でしか買ってもらえないのであればビジネスとして継続していくことは難しいですし、ビジネスパートナーからソーシャルビジネスの会社だから仕入れるといわれるようでは良くありません。しっかり価値を感じていただけるプロダクトや店舗での購買体験を提供していくというところが勝負の本質だと考えています。

2,000点以上のアーカイブ
現在、IPビジネスを展開するアーティストの作品は、2,000点以上のアーカイブがある。
展開先はさまざまな分野に広がる
インテリアやファッションなど、展開先はさまざまな分野に広がる。作家とともに新たな文化の創造を目指している。