今、ソーシャルビジネスを考える 〜社会の課題解決に挑む〜
― 座談会 ―
コロナ禍によるゲームチェンジ
王 宏平氏
株式会社マザーハウス 取締役COO 兼 コーポレート部門統轄責任者
社会へのインパクトより自分たちがやりたいからやっているという感覚です (王)
浅沼:世界には今、経済格差や気候変動などさまざまな問題がありますが、コロナ禍をきっかけに改めてこれらの問題に直面するとともに、さまざまなサービスがあることで私たちの生活が保たれているという実感を得たと感じています。コロナ禍による社会の変化や、皆様のビジネスへの影響についてもお聞かせください。
松田:私たちはビジネスを始めた1年目でコロナ禍に突入したので、以前との比較はできないのですが、ブランドの店舗撤退が相次ぐ中、当社に声がかかる機会が増えました。通常であれば、創業間もない当社のようなブランドに声がかかるようなことはあまりないと思いますし、これをチャンスと捉えてポップアップショップの出店などを積極的に行いました。こうした取り組みはすべて自分たちの実績になると考え、あえてリスクを取りながら前に出ていくというマインドに切り替えることができたのですが、これはある意味幸運なことだったのではないかと感じています。
王:当社もコロナ禍の影響を全面的に受け、2020年4月、5月にはすべての店舗を閉めることになりました。こうした状況下では、赤字幅を最小限に抑えて我慢をすることが短期的にはベストな判断だと思うのですが、当社はコロナ禍にも積極的に新規出店を続けました。松田さんのお話にもあったように、小売側の意識も変わり、ゲームチェンジが起こりつつある中で、ここから社会が変わっていくのではないかという思いがありました。また、2020年7月には、お客様から回収したレザーバッグを解体し、在庫になっている素材と組み合わせた「リメイク商品『RINNE(リンネ)』シリーズ」の販売を開始するなど、コロナ禍を機に、自分たちをアップデートしていくような新たなアクションも始めています。
斉藤:コロナ禍によって都市部にテナントとして入っているパン屋さんは非常に厳しい状況になったのですが、一方で都市近郊のベッドタウンにあるパン屋さんは売上が伸びたんですね。また、緊急事態宣言が何度も出されたりする中で需要が読みにくくなってしまったところがあり、結果的にパンのロスが増えてしまうという状況も生まれました。こうした社会の潮流の中、ロス削減の取り組みに目を向けるパン屋さんが多くなったということは肌で感じています。その結果、当社が運営するパンのお取り寄せ・通販サイト「リベイク」の取扱量自体は増えたのですが、毎日取り扱っていたパン屋さんからの仕入れが3日に1回になるなど品揃えが不安定になり、運営的には難しい面もありました。
